【機能が多すぎる】地域包括ケアシステムの実体②【地域ケア会議】

専門職向け

みなさん、こんにちは!

今回は前の続きで、地域包括ケアシステム構築の一つの手法である地域ケア会議についてご紹介したいと思います。

地域ケア会議については、地域包括ケアシステムと同様に市町村等自治体などの地域の実情に合わせて様々な展開の仕方がされています。

基本の「型」のようなものはありますが、その位置づけや機能に地域ごとの特徴があるという感じですね。

このブログでご紹介できるのは、基本の「型」の方ですが、私の所感も含めて書いていきたいと思います。

地域ケア会議とは

前回の記事で紹介した通り、地域包括ケアシステムは地域を基盤としたcommunityーbased care と統合型ケア integratedーcare の 2 つの独立したコンセプトの上に成り立つケア提供システムであり,利用者が生活する地域を基盤に展開される医療,介護,保健,福祉サービスの統合的な提供システムで,地域の主体性に基づき地域の実状に応じたシステムの構築が必要とされています。

地域ケア会議は2015年の介護保険法改正によって、地域包括ケアシステムを拘置する一つの手法として市町村に努力義務として課せられたものです。

地域ケア会議の目的

地域ケア会議の大きな目的は「個別事例の検討によって地域課題を明らかにし,政策形成を目指すもの」となっています。

地域ケア会議には大別して「個別事例を検討する地域ケア個別会議」「共通する要因から地域づくりや仕組みづくりを検討する地域ケア推進会議」の二つあります。

それぞれ、地域ケア個別会議では「個別事例の検討によって課題を明らかにする」ことが必要とされ、地域ケア推進会議では「個別会議での課題から必要な仕組み作りを地域でしたり、施策を提言する」ことが必要とされているということですね!

地域ケア会議の種類

前述した目的から地域ケア会議には2種類あります

地域ケア個別会議

個別事例を取り扱うものを指しますが、全国一律でおんなじことをしているわけではありません

  • リアルタイムで関係機関が行うカンファレンスを地域ケア個別会議と位置付けている
  • 個別事例の検討ではあるが定期定例で行うものに限定している
  • 定期定例の個別事例の検討中でも、自立支援型ケアマネジメント会議と呼ばれる自立を主眼としたものに限る
  • その他

などなど、その位置づけは市町村によって全然違います。これは、自治体によってこれまでの取り組みや構築されているシステムが全然違うからだと思います。皆さんのお住いのところではどんな感じですかね?

地域ケア推進会議

先ほどの、個別事例が事例つまり「点」を扱うものであれば、こちらは地域やシステムなどの「面」を扱うものになります。これも地域ケア個別会議と同様に、自治体によって全然違います。多くは、やはりそれまでの自治体の取り組みとして行っていた既存会議に機能を追加、あるいは会議群を再編するなどして重層的な会議体として設置されていることが多いようです。

地域ケア会議の機能

ここからは地域ケア会議の機能です。よく言われている5つの機能のことなんです。この機能は実は順番に達成されるのではなく、循環するものであることが重要であると考えています。

● 1.個別課題解決機能

・自立支援に資するケアマネジメント支援
・支援困難事例などに関する相談や助言

● 2.ネットワーク構築機能

・地域包括支援ネットワークの構築
・自立支援に資するケアマネジメントの普及と関係者の共通認識
・住民との情報共有
・課題優先度の判断
・連携や協働の準備と調査

● 3.地域課題発見機能

・潜在ニーズの顕在化
・顕在ニーズ相互の関連付け

● 4.地域づくり・資源開発機能

・有効な課題解決法の確立と普遍化
・関連機関の役割分担
・社会資源の調整
・新たな資源開発の検討、地域づくり

● 5.政策形成機能

・需要に見合ったサービスの基盤整備
・事業化、施策化
・介護保険事業計画への位置付け
・国や都道府県への提案

1〜3は個別ケースの検討のための機能、4〜5は地域課題の検討のための機能として位置付けられています。

機能のまとめ

こんな感じの機能があるという風に厚労省は言っています。現在では、生活支援体制整備事業の協議体の概念があり、そちらとの重複などもあるのだとは思います。

つまりは、地域ケア会議の機能というのは、以下の様に整理していいのではないかと考えます。

地域ケア個別会議としては

  1. 前提として「個別事例の解決を行う場である」ということで、まさにクライエントの生活課題を支援関係者あるいは地域住民等と把握し解決を考えるという場ですね。
  2. ここで実はどのケースにどんな生活課題があったのか?ということを積み上げておく必要があります。(一覧化、名簿化)

地域ケア推進会議では

  1. 個別ケア推進会議で積み上げられた生活課題を日常生活圏域等で共有する場が必要だと思います。自分たちの暮らす地域にどんな人がいて、どんな暮らしがあって、その中でどんなことが生活課題になっているのか?これを共有することが地域づくり、地域活動の出発点になると思います。
  2. 上記で共有された生活課題、福祉課題は実はあまりリアリティをもって地域住民さんとは共有できません。そのため、共有された生活課題、福祉問題の意味や解決策を学習するということも必要となっています。(福祉教育の場)
  3. 学びを得た後には、その解決策を地域の実情に合わせたオリジナルなやり方で解決する方法を検討します。これは、日常生活圏域では広すぎるなどの問題もあるので、もっと小地域で行う必要があるかもしれません
  4. 解決の協議を行うためには、住民さんだけはダメです。しっかりと専門職がその専門性をもって、地域の中で発揮していくことも必要になります。つまり、協議や解決の場には住民と専門職の連携が必要であり、そのため会議ではその連絡調整等を行う必要があるということですね。
  5. このような活動をしていると、必ず地域で住民や専門職だけでは解決できない問題が出てきます。これらは、より広域的に対応する必要があるものだったり、施策制度への反映が必要ということになります。

こんな感じの機能を果たすことが地域ケア会議なのかなーと思っています。

地域ケア会議の現状、問題

これまで述べてきたような感じで考えると、案外地域ケア会議を行うことの意味も明確で簡単なような気になってくるのですが、実際はそう簡単なものではないということがあります。

地域ケア会議に関する研究では

「地域ケア会議の目標の設定に迷っている」「現状急速に進められる地域包括ケア政策の中で地域ケア会議の位置づけを整理できていない」「現状保険者職員自身に迷いがあり、地域包括支援センターに地域ケア会議の目標を明確に伝えられない」「委託包括は求められる業務内容の多さに比し,自分で決められる範囲が狭い」など様々な障害が述べられています。

原田 小夜 種本 香「地域包括支援センター職員の地域ケア会議運営の課題と運営の工夫」(2018.第65巻 日本公衛誌 第10号)

こんな感じの問題が、全国津々浦々いろんなところで起きていて自治体や地域包括支援センターは悪戦苦闘しているということですね!

地域包括ケアシステムと地域ケア会議

地域包括ケアシステムの実現に重要な役割がある地域ケア会議は、前述した機能を意識しながら小さな単位で始めることで、実現につながります。

想定されるのは、
1.個別事例ごとの開催
2.日常生活圏ごとの開催
3.市町村や市域全体での開催

イメージとしては、「1.個別ケース検討(地域包括が主体)」「2.日常生活圏域での個別ケースから見える課題の検討(地域包括あるいは体制整備事業の協議体)」など、圏域ごとに地域ケア会議を実施します。そして「3.市域での広域あるいは市域課題の検討、および政策提言(自治体主体あるいは第一層協議体)」の開催という感じなのかなーと思います。

また、できれば1~3の相互に連絡を取り合いながら調整し、地域課題の発見や把握に努めます。そして、地域づくりや資源開発の検討の際には、様々な関係機関の関与が必要となります。

政策形成に関しては、なにか個別事例で困っているミクロレベルの問題に対してすぐに対応がされることはないと思いますが、市町村レベルの地域ケア会議を実施することで、今まさに困っているクライエントの状況が自治体に伝わり、より実態に即して自治体レベルでの対応につながると考えられます。

まぁ、うまくいけばいいんですけど、ものすごく色々と壁があるとは思いますし、1~3の会議だけではなく途中に運営会議や調整会議など細かい会議が挟まっていくのだとは思います!

重要なのは、先の引用文献でもあった通り、個別、日常生活圏域、市域という圏域における会議の目的や意義、そして会議間の連携の在り方が保険者である自治体と最前線の地域包括やケアマネさんなど事業者がしっかりと共有されていることなのだと思います。

また、これも引用文献からですが全国的な課題として委託包括の業務は多岐にわたる種類(事業)と高齢化に伴う指定介護予防支援事業の業務量や複合多問題ケースの対応など、業務量は多いは解決が非常に難しいことやこれまでにない問題に取り組む必要があり、めちゃめちゃ高い質が求められます。これはもう大変なんて言葉じゃ言い表せません。

そのため、保険者である自治体にはそのバックアップとして市や日常生活圏域というフィールドの中で、地域づくりや仕組みづくりがどのように行われるのか、そのマネジメントが求められていると言えます。

私が地域包括支援センターにいるので、ちょっと偏った意見にはなっているとは思うのですが、皆さんの市町村ではどんな感じでしょうか?私としては、立ち位置が違うので当然なんですけど、自治体とは「なんとなく分かり合えないな」と思いつつ、「どうせ10言って10理解は無理だから、100くらい言っておこう」みたいな感じです。

最後に

いかがだったでしょうか?

今回は、改めて地域ケア会議についてまとめてみました。まとめてみて思ったのが、地域ケア会議の概念が出てきた後に最近では生活支援体制整備事業が整備されて、協議体という同じような、でもちょっと違うものがあるなーということです。

私の感覚では、なんとなくこれらの位置づけが整理されずカオスなまま運用されているようなイメージです。

皆さんのお住いの地域、あるいは職場の地域ではどんな感じでしょう?

コメントなどいただけると嬉しいです!

 

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