【循環が大事】重層的支援体制整備事業②【体制づくり】

専門職向け

皆さん、こんにちは!

今更いうことではないかもしれませんが、地域包括支援センターの研修、社会福祉士、精神保健福祉士、ケママネジャーの養成課程など、様々なところで自助、互助、共助、公助などについて語られています、

個人的にはこれを聞くとなんだか、自助互助ばかりが強調されて、公助共助に頼れないというニュアンスが含まれている気がします。しかし、フォーマルなサービスに問題が有るのであれば、ソーシャルアクションとしての政策提言などが頭に浮かぶのですが、どうも文脈を考えると「互助としての助け合い」とか、「小地域福祉活動」「ボランティア活動」などの自助、互助などをどうしていこうか?とことばかりになっている気がします。

これは、国や地方自治体(県、市)からの、「制度でどうにかするのではなく、地域の中で助け合ってどうにかしてね(^^♪」というメッセージなのかなーとは思っています。これが重層的支援体整備事業です。

いや、自助、互助に働きかけていく必要があるのは何となく分かるのですが、その結果というか、こういう施策を推進する悪影響として、「なんでもかんでもインフォーマル、あるいは日常生活圏域でどうにかしよう」という、杓子定規な市役所の方の思考を招くのではないか、結果的に地域で行われている実践における問題が集約されず、ソーシャルアクションとしての政策提言として届きにくくなるのではないかと懸念しています。

なので、正しくは社会資源の活用とは、フォーマルサービスとインフォーマルサービスの融合なのだと自分では解釈しています。

話を戻すと、要はインフォーマルな資源をプランや資源に組み込んでとか、必要な資源がなければ作るということなどと思うのですが、ではそもそも、自助、互助、共助、公助ってなんなの?とか、なんでこれがそんなに問題になってきているの?ってことが、あまり詳しく語られていない気がします。

そこで今日は、色々な施策で登場する自助、互助、共助、公助と重層的支援体制整備事業を絡めてちょっと深く考えてみたいと思います!

自助、互助がクローズアップされている背景は、やはり人口構造の変化による担い手の減少と高齢者の増加です

生まれる子供が少ないので担い手は当然減少します

近年我が国では、少子高齢化による人口構造が変化が確実になっています。これは人口なので、何年に生まれた子供がいつ大人になるのかが揺るがしようがないので確定です。そして、少子化といわれて久しいので生まれる子供が少ない年から20年後は確実に新成人、つまり働く年代が少なるのです。そいういったことが、20年以上前からずっと続いているので、当然これからの社会は「担い手」が少なるのは、当然だということですね!

こんな感じで、現代的な福祉業界の課題としては2025年問題に代表されるような医療、福祉といった分野で新たに働き始める専門家、すなわち「担い手」が非常に少なくなり、足りなくなるということです。

少子化によって若者が少なくなる社会なので、医療介護の担い手がこれまで以上に減少する

高齢者人口が激増するので、割合的に認知症等支援が必要な人も増加します

また、第1次ベビーブームの時期に生まれ、さまざまな分野で日本の成長を牽引してきた、いわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上、つまり後期高齢者になるのが2025年です。(なので、2025年問題なのです)

そのため、総人口1億2000万強の人のうち、後期高齢者の人口が2,000万人以上に達することによって、高齢期になると一定の割合で認知症の等の支援が必要な方が急速に増えることになります。

高齢化により支援ニーズが高い高齢者が増える。より、医療介護の専門家の受容が高まる

さらに、我が国は無縁社会と呼ばれ「地域のつながり」や「家族の力」が弱まっています

また、高度経済成長の影響で核家族の増加の結果、子供世代が地元を離れ、都市部で就職するなどして、遠方で暮らし始めたことから、現代的な社会では高齢者のみ世帯あるいは高齢の独居世帯が増加しています。

このような社会では、地縁関係が極端に薄くなり、これまで家族あるいは地域社会が担ってきた支え合いが期待できないのです。

このようなことから、我が国では2000年に介護の社会化である介護保険を導入せざる得ず、フォーマルな社会資源で何とか増えつつあった介護ニーズに対応をしようとしてきました。

そして現在では、このようなフォーマルな社会資源である介護保険等の共助も限界を迎えています。

つまり、法律上、倫理上家族じゃないとできないこと

  • 日々のお金の管理
  • 医療同意
  • 死後の手続き
  • 大掃除、庭掃除
  • 受診の付き添い
  • 住居に関する支援

などなど挙げ始めるときりがありません。

まぁ、このようにフォーマルな社会資源でもフォローしきれない支援ニーズ、生活課題が出てきているのです。

もちろん、このあたりの問題は成年後見制度や一般企業等で展開するサービスなどで対応できるものも存在し、徐々に社会が無縁社会に適用しつつあるのだと感じる部分もあるのですが、完全ではありません。

(この辺に実はソーシャルアクションの必要を感じます)

このため、フォーマルな社会資源でも対応が複雑で困難であったり、介護医療の専門家には高い専門性や対応能力が求めれることになり、余裕がなくなっています。

少ない、より少なくなる医療介護の専門家が対応する支援も複雑で困難なため余裕がなくなる

国は地域共生社会を実現することで解決しようと考えています

そのため、このような地域社会の変化ならびに現代的な福祉課題の解決に向けて、地域共生社会の実現が志向され、重層的支援体制整備事業が始まっています。

重層的支援体制整備事業については過去に記事を書いていますのでこちらかどうぞ!

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重層的支援体制整備事業は簡単に言うと

  • 相談支援(多機関協働)
  • 参加支援
  • 地域づくり
  • その他(アウトリーチ事業とか)

という構成になっています。つまりは、この事業を市町村が地域特性やこれまでの取り組みを踏まえて一体的に行うことで、これまで述べた問題を何とかしてね!ということですね。

つまりは、市町村の責任において、自助、互助、共助、公助の見直しが迫られているということです。

重層的支援体制整備事業は市町村単位で、これまでの取り組みを鑑みて実施する。内容は市町村次第である!
重層的支援体制整備事業には、自助、互助、共助、公助の見直しが必要

自助、互助、共助、公助とは

自助、互助、共助、公助の定義としては、平成25年「地域包括ケア研究会報告書」では、

「「公助」は税による公の負担、「共助」は介護保険などリスクを共有する仲間(被保険者)の負担であり、「自助」には「自分のことを自分でする」ことに加え、市場サービスの購入も含まれる。これに対し、「互助」は相互に支え合っているという意味で「共助」と共通点があるが、費用負担が制度的に裏付けられていない自発的なもの。」

平成25年「地域包括ケア研究会報告書」より

とされていいます。

このような考えのもと、高齢者福祉分野では地域包括ケアシステムの構築について推進されてきました。

しかし、2025年問題による担いの手の減少及び福祉ニーズの多様化は高齢者のみの問題ではなく、障害者、困窮者、子ども、子育て世代など世代分野を問わず発生することから、地域共生社会の実現に向けた包括支援体制の整備と土台としての地域力の強化などを目的とした全世代型地域包括ケアシステムとも言うべき仕組みである重層的支援体制整備事業が始まっています。

しかし、重層的支援体制整備事業を行うことで、本当に解決していくのでしょうか?

そもそも、高齢分野の地域包括ケアは自助、互助、共助、公助の見直しとして実施されてきた。今後は、そのケアを全体代へ拡大する。これが重層的支援体制整備の根本の考え方

「狭間の問題」への対応が大事です

これまで述べてきたのは

  1. 少子化によって、医療介護の担い手が今後より少なくなる
  2. 高齢化によって、支援ニーズの高い高齢者の数が増えて、医療介護の担い手の受容が高まる
  3. 無縁社会によって、医療介護の専門家の実務はより複雑、困難になるため余裕がなくなる

ということでした。

そして当然ですが3のこともあって現在では、フォーマルな社会資源である介護保険等制度施策ある公助を中心とした対応では、どうしても「制度で対応できにない狭間の問題」が発生しますし、今後の社会ではより「狭間の問題」は多くなります

万能ではない公助には制度で対応できない「狭間の問題」が発生します

高齢者だけではない!すべての福祉分野で「狭間の問題」があります

これは何も高齢者の支援に限ったことではないのです。

無縁社会、そして担い手の減少はこれまでの公助共助を中心としたフォーマルな福祉サービスでは対応できない多様な問題が複雑に絡まった福祉ニーズを顕現させます。

具体的には、認知症の独居高齢者がいた場合、その家族が遠方、あるいは身寄りが全くない方の支援では、制度施策がすぐに対応できないような後見制度利用決定までの金銭管理、徘徊への対応、医療受診の付き添いなど縦割りで万能ではない公助である制度施策の狭間の問題への対応が必要となります。

「狭間の問題」は、すべての福祉分野で発生します

「狭間の問題」は二種類あります

このような、「狭間の問題」への対応は実は2種類あると考えいます。

一つは、各分野の中でソーシャルアクションなどを行われるシステムがあり「公助」あるいは「共助」を充実させていくタイプのもの

もう一つは、「地域福祉」という文脈の中で対応を考えていくべきものです。

「狭間の問題」は、公助共助として考えていくもの、地域福祉として考えていくものの二種類あります。

公助共助は各分野でちゃんと充実させてください。

介護保険では地域包括ケアシステムの構築及び地域ケア推進会議だとか、障害分野だと自立支援協議会とか、児童はあまり詳しくないんですが何かこのような「制度では対応できない狭間の問題」を協議する場があるのでしょう、たぶん。

それが、機能しているかしていないかはさておき、分野ごとに解決は一応考えられていると思われます。

そして、その中で支援システムの改善や必要な研修等人材育成あるいは政策提言などの対応がされていると思います。

公助には各福祉分野ごとに何らかの政策提言につながるシステムがあります。しかし、これが機能しているかどうかは、お住いの市町村によります。

公助、共助を充実させても解決できない「狭間の問題」は自助、互助へのアプローチである地域福祉の中で考えていきましょー

これまで述べた「狭間の問題」は必ずしも各分野の中だけでは解決できるものではなく、各福祉分野に横断する「地域福祉」の中で考えらえている、あるいは考えていくべきものもあるとは思います。

例えば、子どもの困窮などに問題から「子ども食堂」の取り組みが始まっています。これは、児童分野、困窮というちょっと分野間横断する要素が高い支援の中で見いだされた必要性が取り組み化されたものだと思います。

細かいことを言い出すと、子ども食堂にはいろんな形態があるのですが、地域住民による福祉活動として行われる形もあるので、この取り組みの側面の一つとして「地域福祉」があると言えます。

さらに、高齢者になると生活支援体制整備事業などに代表されるような「介護予防」「フレイル予防」などの予防的活動の必要性が見いだされましが、これらは制度施策ではなく、費用負担が制度されていない住民な自主的な対応を喚起するような支援が展開されています。これも、やはり広義には「地域福祉」として推進されるべきものですし、実際そうなっています。

他にもたくさんあるのですが、つまり何が言いたいのかというと、各福祉分野の中で制度では解決できない「狭間の問題」には、「地域福祉」という文脈の中で対応が図られているものがあるということを言いたいわけです。

各福祉分野の中で制度では解決できない「狭間の問題」には、「地域福祉」という文脈の中で対応が図られているものがある

あるいは、公助共助の充実と、自助、互助へのアプローチは同時並行で行う場合もあるかも

上記で、公助共助の充実が前提条件ですと書きましたが、これらの充実には時間を要します。そのため、小地域の中でそういった課題の中で優先順位が高いものは、地域の中で先に地域福祉として進めていった方がいいものもあるとは思います!

自助、互助、共助、公助の見直しとは、その循環システムがあるかどうかを見直すことです!

このように、制度ではどうしても解決できない「狭間の問題」を切り口に考えていくと、ただ、公助として制度施策や相談支援のあり方などを考えるだけとか、共助である介護保険等のメニューを増やすだけではダメで、その根源となる「狭間の問題」について、議論できる体制が必要となってきます。

そして、この議論にはいろんなやり方があるとは思いますが、すべてを地域福祉につなげてもダメですし、制度施策の中だけで考えてもダメです。

公助、共助としての「狭間の問題」の解決について十分に議論され、それが地域福祉と共有され、公助共助の中でも、地域福祉の中でも具体化されていく。そして、その取り組み自体がまた公助共助へと共有され、周知され、活用される。という循環が必要であるということですね。

狭間の問題の解決には自助、互助、共助、公助の間での循環が必要です

重層的支援体制整備事業と合わせて考えるとやはり循環が大事です

重層的支援体制整備は市町村の地域特性やこれまでの取り組みをベースに取り組まれることになります。

しかし、アウトリーチ事業、多機関協働事業、参加支援事業などを重層的支援会議によって協議するだけはなく、横断的相談支援の構築には、庁内連携も含めた包括的支援事業者にあたる機関間のマネジメントがあって初めて機能するのではないかと考えられます。

また、多機関が協働するだけですべての問題が解決するというは間違いです。各分野中で十分に問題が議論され整理されて、かつ機関間連携を行わなければいけないという前提条件にすぎません。

それでも解決できない問題があるのか?ということを特定する必要があります。

これらが、公助、共助に対しての要求であると思っています。

また、地域づくり事業については、予防的取り組み、すなわち介護、フレイル予防、あるいは自立した生活の維持が求められています。

これらはすでに生活支援体制整備事業や各分野で持っているネットワークを運用することによって住民の自助、互助に対して働きかけている市町村が多いでしょう。

しかし、自助、共助に対する今後の役割はより重要性を増すため、今後はより公助共助では対応できない「狭間の問題」が、地域づくり事業へと共有され、地域福祉が他の高齢分野とか、障害分野とか、児童分野等の各福祉分野に寄与するような形で実践されるような循環が必要となります。

このような循環について、市町村には、地域マネジメントとして、地域福祉実践として行われる具体的な自助互助への働きかけに対する明確なイメージが存在すること求めらえると考えます。

つまり、自助、互助、共助、公助を担う関係者(行政、専門職、住民等)の中で「狭間の問題」やその対応などが、循環する仕組む、そなわち「体制」を作ることが市町村の責務となると考えることができます!

自助、互助、共助、公助の間で情報共有や取り組みの協力がされる「体制」を作るのが市町村の責務

最後に

いかがだったでしょうか?最初は自助、互助、共助、公助の整理を記事にしようと考えていたのですが、途中から普段のうっぷんが溜まっていたのか、暴走してしまいました。でも、まぁ概ね考えていることはこんな感じです。内容については、荒い部分や整合性がない部分が多いので、今後修正等していきたいと思います!

もしよかったら、コメントください。お願いします!

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