【複雑でややこしい】介護保険のヒミツ【事例で説明】

事例

皆さん、こんにちは!

私は高齢者の相談をメインとした業務をしているのですが、こんな相談をたくさんいただきます。

介護保険ってどうやって使うんだ?
どんな時に、どんなことに役立つのか?
どんなタイミングで使えばいいのか?
などなど、介護保険に関するご相談をたくさんいただきます。
これは、介護保険制度が複雑怪奇であることと、あまり一般的に情報が発信されていないので、こんなことになっているのではないかと思っています。
そこで、今日は「使う人」目線から、介護保険の使い方についてご紹介したいと思います!
過去にも同じような記事を書いてますのでよかったら見てください!

介護保険を申請できる条件

介護保険を利用するための条件としては、「介護保険の被保険者である」こと、「要介護認定調査を受け、『要支援1~2』または『要介護1~5』と認定されている」ことの2つがあります。以下では、二つの要件について説明します。

その1 65歳以上(第一号被保険者)

65歳になると介護保険被保険者証が郵送で届きます。原因を問わず、介護が必要であると認定されれば、介護保険を利用することができます。

その2 40歳以上で特定疾患あり(第2号被保険者)

40歳になると、医療保険料と一緒に介護保険料を納めるようになりますが、介護保険の被保険者証は手元に届きません。特定疾病(老化が原因とされる病気)により介護が必要になったと認められた場合のみ、介護保険を利用することができます。

【第2号被保険者が介護保険の対象となる特定疾病】

  1. がん(がん末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  4. 後縦靭帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗しょう症
  6. 初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体病等)
  7. パーキンソン病関連疾患 (進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病)
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭さく症
  10. 早老症(ウェルナー症候群等)
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患(脳出血、脳梗塞等)
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎)
  16. 両側の膝関節又は股関節の著しい変形を伴う変形性関節症

どんな時に使えばいいのか

介護保険は、どんな時に使うものなのか?何をどうすればいいのか?本人やご家族から非常に多くのご相談があります。

それもそのはず、介護保険の詳しい内容なんて、介護問題に直面しなければ知る機会もないですし、もし「よし調べてみよう!」と思い立っても、かなり個別の事情によってケースバイケースになってしまうため具体的な内容は中々わかりにくいです。

ここからは、私が相談を受けてきた中で概ね三つくらいに介護保険サービスを受けるきっかけになるような状況を三つのケースとして書き出してみました。これ以外にも色々パターンはあると思いますが、参考にしていただけると嬉しいです。

ケース① 足腰等の衰えを感じた時

例えば、「いつも行っているスーパーまでの道のりがつらくて、数回休憩しないと歩けない。」「膝、腰の痛みのために立って行う家事をするにも休憩を挟まないと立っていられない」など、10分、20分継続して歩いたり、立っていることができない場合や、「自宅の中でも常に何かを持って移動しない、転倒しそうで危ない」など、転倒のリスクが高い場合は介護保険の申請をして、リハビリ等を始めることを考えるタイミングです。

そんなときは介護保険でリハビリをしましょう!

このケース①の場合は、介護保険サービスが使えるようになった場合、送り迎え付のデイサービスやデイケア等でリハビリを行うことで、身体能力の維持や向上を早い段階で行うことが重要であると考えられます。あまり、どこかに通うのが気が向かない方であれば、主治医の先生とも相談のうえで訪問リハビリや訪問看護などで、自宅でリハビリを考えてもいいかもしれません。

また、最近では市町村によって介護サービス以外に住民が自主的に行っている体操や集いなどを支援され増えているので、そういった場をお住いの市や地域包括支援センター、あるいは社会福祉協議会等に聞いてみるとあるかもしれません。

ケース② 身の回りのことが自分でできにくくなった時

整髪、顔洗い、歯磨きなどができなくなったり、お風呂に入るのが一人では大変で、洗身、洗髪に手伝いが必要あるいはできていない場合は何らかの理由で、自分自身の身の回りのことを行う能力が低下していることが疑われます。高齢になると元々きっちりとそういった身だしなみを整えることを習慣的にやっていた人でも、徐々にそれが不十分になるなど段階的にできなくなることが想定されます。これは単に億劫で行っていないなどの理由ではなく、関節疾患や認知症の進行によって「行えない」ということも考えておくべきです。このような場合は、やはり受診や介護保険の申請を考えるタイミングになります。

そんなときは介護保険で生活支援を受けましょう!

前述したデイサービス等で介護職員さんにサポートを受けながら入浴することができます。デイサービスやデイケアは多くの場合に送迎付きなので、外に出ずらくなった方でも使いやすいと思います。

認知症の方には、できれば他者との交流等脳にとって刺激にある生活を送ると進行を遅らせることができると言われていますので、リハビリもかねて早期から通所系のサービスを使っていただくことも良いと思います。

認知症に関しては以前にも記事を書いていますので、良かったら見てください

ケース③ 施設入所を考えた時

例えば、お一人暮らしの方で徐々に一人で生活していくことがしんどくなってきて、「施設に入ろうかしら?」と不安を感じられることがあった場合は、介護保険を申請してみることで入所できる施設の種類等目途が立ちやすくなります。

以前に書いた記事で介護施設の入所条件や費用をまとめたものがあるのでよかったら見てください

費用

介護度によって決められた限度額の範囲内なら使ったサービス費用の1割~3割の負担になります。

介護保険が適用されない費用もあるので注意が必要です。

使うまでに必要な準備

介護保険を使うときは実は色々と準備が必要です。以下では、流れを説明してきます。

まずは受診している必要があります

介護保険の申請を行う場合には、介護度を決めるための「主治医の意見書」という情報が市町村にとって必要となります。つまり、通っている主治医が存在しない場合は、体の不調や生活が行えなくなっている原因を作っている病気を医療機関に受診して診てもらう必要があり、その際に医療機関に介護保険申請についても相談しておくと良いでしょう。

市町村へ申請が必要

無事、受診ができて、主治医の先生にも介護保険申請について相談ができた後は、市町村に対して介護保険の申請手続きを行う必要があります。

市町村によって色々な場所で申請ができるようになってますので、行きやすい場所を市に聞いてみると良いでしょう!

申請場所として多いのは、市、市の支所、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所等です。

申請して、介護度が決定するとサービス利用が可能

申請して概ね一か月程度で介護度が決定しています。

決定した介護度によって介護サービスを受けられる量で「単位数」がわかります。各介護サービスにはこの単位数が設定してあり、単位数の上限まで保険適用されることになります。

ケアマネジャーを決める

介護保険制度では介護支援専門員(通称:ケアマネジャー)を選んで契約することで、介護サービスの紹介や単位数の管理、保険給付などをしてもらうことができます。というか、制度設計上ケアマネジャーがいないと複雑な保険給付の事務処理やあまり知られていない介護サービス事業所等を探してサービス提供を依頼するなどを本人、あるいは家族がしないいけないのであまり現実ではりません。そのくらい、介護保険は複雑であるということかもしれません。

ケアマネジャーについては以前に詳しく記事を書いているのでよかったら見て下さい。

ケアマネジャーと介護サービスの使い方を相談して、サービスを調整してもらう

ケアマネジャーが決定すると、本人と面談し身体状況や生活状況などを聞き取り、本人、ご家族の意向を確認したうえ必要な対応や介護サービスなどが見積もられます。その後に相談によって使うことが決定した介護サービスをケアマネジャーが調整してくれます。ある程度の費用の説明や介護状態を改善するためや安全に生活すための助言などもケアマネジャーの業務となります。

このようにケアマネジャーとはなんともありがたい存在ではありますが、やはり人間対人間なので相性の問題もあったりします。ケアマネジャーを探す方法や変更方法などについては過去に記事を書いてますのでよかったら見てください

 

介護保険を使うメリット、デメリット

介護保険には、すごくいいところと使い勝手が悪いところがあります。ここからは、そのへんをメリット、デメリットとして紹介します!

メリット

介護保険は社会保険ですので、保険料さえ納めておけば医療法県と同様に、本来高額である介護サービスを必要時に1割~3割の負担で利用できることになります。

施設入所にための制度であると思われがちですが、在宅で過ごすためのサービスも徐々に充実しつつあります

ケアマネジャーという、介護の専門家が相談役として就くので介護について一人で悩まずに済みます。ケアマネジャーがつくことで保険給付やサービス調整も行ってくれるので非常に助かると思います。

デメリット(というか、介護保険でできない事)

在宅サービスはやはり、休日夜間は手薄にはなります。自宅で常時24時間での介護は受けることはできません。

例えば、元気なご家族が同居の場合は、訪問介護による家事援助は行えない(絶対ではなく、やむを得ない事情があれば柔軟に対応)や、掃除などは日常的なものに限られ大掃除などは行えない、医療機関でのリハビリとデイケアなどは併用できない(これも状況によって可能な場合もあります)、医療機関内での受診の付き添いが介護保険と医療保険の併用になるのでできないなど、他に多数の細かいルールがあります。そのため、かゆいところに手が届かない場合も多いです。

最後に

いかがだったでしょうか?今日は、日々相談を受ける中であまりにも多い介護保険にまつわる内容についてまとめてみました。

介護保険制度が始まって20年以上がたちます。かなり、存在にはついては社会的に認知されてきたところではありますが、内容については複雑でわかりにくいことからあまり知られていないと感じています。

もうちょっと、とっときやすいものであればいいなとこの記事を書いてみました。

記事の内容については、かなり色々と端折っているので見る方が見れば思うことがあるかもしれません。そんな時は、コメントなどでご指摘いただけると嬉しいです。

また、これから介護保険制度を使ってみようと思わる方がいらっしゃいましたら、どんなことでも構いませんので疑問等あればコメントでご質問等いただけれるとうれしいです。

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