【事例】特別養護老人ホームへの入所【要介護4】

事例

こんにんちは、ヒロです。介護相談を受けていて悩みが深いのが「施設入所」です。これは、ご家族はもとより入所するご本人にとってもかなり大きな問題です。そこで今日は、特別養護老人ホームへの入所になった方の事例で、特別養護老人ホームへの入所を考えた時のポイントや入所のタイミングをご紹介いたします。

このページを読んでわかること
  • 特別養護老人ホームへ申し込むタイミング
  • 特別養護老人ホームの探し方
  • 特別養護老人ホームの申し込み方
  • 特別養護老人ホームの費用、減免制度
自宅での生活
花子さんは独り暮らしをしている80歳の女性です。夫の太郎さん3年前に亡くなっています。花子さんには長男の大輔さんと長女の正子さんがいますが、大輔さんが車で3時間の距離、正子さんが車で1時間の距離に住んでいます。昨年までは、介護を受けずに元気に過ごされていましたが、ある日お風呂で転倒し大腿骨を骨折し、2カ月入院されていました。2か月の入院の間に歩く力が衰え花子さんは身の回りのことや買い物通院が満足にできなくなりました。そこで、正子さんは介護保険サービスを使うための手続きを行い、要介護1と認定されケアマネジャーのヒロが担当となりました。自宅では家事や身の回りのことをヘルパーさんが手伝い、週2回デイサービスに行き入浴していました。通院は介護保険サービスで対応ができないので正子さんが月に一回行っていました。
  • 介護申請→ケアマネにサービス調整依頼
  • デイサービス週二回利用(入浴、レクリエーション、リハビリ)
  • ヘルパーさん週3回(1時間弱)利用し掃除洗濯買物
  • 通院は正子さんが行う(月一回)
花子さんの認知症
そんなある日、正子さんからケアマネジャーのヒロへ連絡がありました。正子さんは、花子さんがご飯を食べていないことがあったり家の中を散らかすようになっていると話します。ケアマネのヒロとしても毎月の訪問で、財布や通帳を無くし家中を探していたことがあったり、ヘルパーさんの訪問の日や時間を忘れてしまっていたりすることが多くなってきていて「認知症状」が出てきているのではないかと考えていたため、そのことを正子さんに話しました。正子さんとしてもしっかりしていた花子さんが「認知症」だなんて始めは信じられない様子でしたが、話し合っているうちに認知症の初期症状に当てはまる行動が多いため一度受診をすることにしました。受診については、いつもかかっている主治医から専門病院を紹介してもらうようにケアマネから聞いたので、主治医の先生へ相談してみることにしました。
  • 認知症の初期症状(何度も同じ話をする、曜日時間間隔が曖昧になる、物をよく失くす、失くしたものを人が盗ったという、お風呂に入りたがらない などなど)
  • 認知症専門医は主治医に相談してみる(市町村によっては認知症を看れるお医者さんの一覧があったりするので、市や地域包括支援センターへ聞く)
いつも行く病院の先生に正子さんから相談した結果、近くの専門病院を紹介してくれることになりました。専門病院ではMRI等の検査や認知症の程度を図るテスト(長谷川式)を受けて、数回受診した結果花子さんはアルツハイマー型認知症であると診断されました。症状の進行を抑制するお薬が出ましたが、専門病院にずっと通院する必要はなく、専門病院から照会したいつもの先生にお知らせしてくれて、いつもの先生からお薬を継続して出してもらうことになりました。何か、変化があればまた今回と同じようにいつもの先生へ相談し紹介してもらうという流れになると説明がありました。
介護度の変更
正子さんから受診の結果を聞いたケアマネのヒロは、花子さんの状態から今の介護度では介護サービスの量が不足する可能性があるのと、今後介護施設への入所も必要になってくるかもしれないと思い、介護度の変更について正子さんに提案しました。
正子んさんも花子さんの今後について「どうなっていってしまうのだろうか?」と不安があり、施設入所も見据えて介護度の変更の手続きを行うことにしました。
  • 介護度の見直しはいつでもできる(ケアマネジャーに相談可能)
  • 介護度の決定は、申請から約1か月かかる
  • 特別養護老人ホームは要介護3から申し込み可能
転倒による入院
介護度の変更の手続きを行おうとした矢先、花子さんは自宅内で転倒し大腿骨頚部骨折により救急搬送され入院することになります。大腿骨頚部骨折の手術は無事終わり、安静にしていれば1か月程度で退院できるしかし、「入院中に筋力低下や認知症状の進行も懸念され、以前よりも自分でできることが少なるかもしれない」とDrから正子さんへは説明がありました。正子さんはいよいよ、花子さんが自宅での生活が難しいと考えました。正子さんから連絡を受けた、ケアマネのヒロも病院へ連絡を取り、改めて介護度の変更について相談します。DrからもOKが出たため、早急に介護度を変更することにしました。
介護度がでるまで約一か月、入院期間も約一か月はかかることからこのままでは一度自宅に戻ることになります。困った正子さんは看護師さんに相談すると、病院内の医療相談室を紹介されました。医療相談室では入退院の相談に応じているということで早速相談してみると、花子さんの状態からDrからもリハビリの必要があり、リハビリができる病院への転院の話が出ていることを知りました。手術から約一か月後、花子さんはリハビリができる病院へ転院しました。
  • 介護認定の申請には受診(Drの承諾)が必要
  • 入院中の相談は病院に相談窓口が設置されている場合がある
特別養護老人ホームへの入所
 花子さんはリハビリができる病院へ転院し、何とか自分で寝返りが打てて介助があれば車いすに座れるようになりました。介護度も決定し、要介護4と認定されました。しかし、とてもではありませんが自宅で一人で生活ができる状況ではなく、介護度が決定したのちに正子さんは特別養護老人ホームへ申し込みを行うことにしました。花子さん自身も一人での生活に不安があることも、正子さんが決断した一因です。
 正子さんから相談を受けたケアマネのヒロは、花子さん、正子さんの希望に近い特別養護老人ホームについて情報提供を行います。ケアマネからの勧めもあって、特別養護老人ホームは終身の施設なので正子さんも見学や実際に職員に話を聞き行き慎重に選びます。しかし、どこにもすぐに入れる場所はなく、特別養護老人ホームからは正子さんは順番待ちであると説明されました。全くの先着順ではなく、介護が必要で重度の方から優先的に入所できることには少しだけ安心しましたが、正子さんは病院から退院になるまで順番が回ってくるか心配でたまりませんでした。
 ケアマネのヒロは、正子さんから不安について相談があった後、入院している病院とも連絡をとり、もし入所までに特養の順番が回ってこなかったときに備え、ショートステイや何とか在宅での介護サービスを組み合わせ花子さんや正子さんが少しでも安心できるように準備を行いました。
 結果的に、複数の特養に申し込んでいたこともあり偶然に空きがでて花子さんの順番が回ってきたことが正子さんに知らされます。入院中に入所する予定の特養とも契約を進め、無事退院間際に入所することができました。
  • 特別養護老人ホームは終身の施設。見学して実際の生活の場を確認するのがおすすめです。
  • 特別養護老人ホームに基本的には空きがないので、必ず複数施設申し込みを行いましょう
  • 申し込み手続きはケアマネもある程度、手伝えますが最終的に申し込みを行うのはご家族からになります
  • 入院中に申し込みをする場合は、必ずしも入所できるわけではありませんので、ケアマネにもしもの場合の備えを依頼しましょう。
特別養護老人ホームの費用
 さて、無事に特別養護老人ホームに入所できた花子さんですが介護施設の費用は一体いくらかかるのでしょうか?花子さんのケースでは、正子さんが「もう自宅で生活するのは無理」と決心しある程度の援助も覚悟をされていましたが結果的に花子さんの年金内で施設費用をまかなうことができました。どのような計算になったか見ていきましょう。
一般的に特別養護老人ホームの費用は雑費も入れて、約12万~15万円であると言われています。これでは、ほとんどの人の年金では足りないと思われます。花子さんの場合は年金が月7万円程度と低く、花子さんが住む市へ「標準負担額限度額認定証」の申請が可能でした。この認定証を施設に提示すれば、部屋代、食事代が一定額まで減免される仕組みなっています。また、高額介護サービス費制度のにも該当することがわかり、限度額を超えた介護サービス費が定期的に返還されることも分かりました。

特別養護老人ホームの入所費用の内訳としては①介護サービス費 + ②居住費 + ③食費 +④その他 となります。

これを花子さんに当てはめると

① 概ね3万円程度(このうち1万5千円程度が高額介護サービス費制度による定期的に返還される)

②③ 居住費370円/日+食費390円/日(標準負担額限度額認定証適用後)となり、一か月で合計約2万5千円程度

④ 雑費として理美容、おやつ代、レクリエーション、医療費等が該当しますが、花子さんの場合は特別な治療もなかったため、月数千円で済みました。

①~④を合計すると 総額6万円程度となり、そのうち1万5千円程度が返還される計算になります。

  • 標準負担額限度額認定証」の申請、高額介護サービス費制度ともに世帯全員あるいは本人と同居する配偶者(夫婦二人の場合)が住民税非課税であることが要件になります。
  • いずれも申請しないと適用されませんので、施設入所するときや介護サービス利用するときはお住いの市町村かケアマネジャーへ相談した方がいいです。
最後に
 いかがだったでしょうか?この事例では、花子さんは無事特別養護老人ホームへの入所が行えました。このようにスムーズに事が進むケースばかりではありませんが、一つのモデルケースとしてご紹介いたしました。
 介護は突然にふりかかってくるものです。このページをみて少しでも備えになればと思っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました