皆さん、こんにちわ!
最近「介護が突然にようにやってきて・・・・」という方のお話をすごく良く聞きます。少し前に、「老後には2000万円必要だ」みたいなことがありましたが、実際はこのブログでもちょこちょこ触れている通り、かなり個々の事情によって変わってきます。
しかし、これは安心材料ではなく、個々の事情によって変わるってことは、どうしても【介護への備え】が必要ってことです。今日はその、備えについて書いてみました!
ポイント①認知症に対する備えが必要
- 75歳以上の5人に1人が要介護認定を受けている中でその原因の一位は認知症である。そして、認知症は65歳以上で5人に一人発症すると言われており、年齢が高くなるにつれ発症率が高くなる。MCIも含めると90歳以上の方ではほぼ全員が何らかの認知症状があり介護が必要となっている
- 9%と少数ではあるが、まだまだ現役世代である65歳以下の方でも認知症と診断されることがある。
介護を必要とする原因の一位は認知症です。二位の脳血管疾患でも体のマヒ以外に脳血管性認知症と呼ばれる物忘れ等の認知症状が出る場合があります。
2012年の時点では認知症の患者は全国で約462万人、65歳以上の7人に1人は認知症であると言われていました。認知症の方は年々増加しており、2025年には730万人に増え、認知症の方は5人に1人になると推測されています。
これに認知症の前段階である軽度認知機能障害(MCI)を含めると4人に1人は認知症の時代が来ると言われています。
年齢階層による認知症患者数は85歳以上になると40パーセント、90歳~94歳では60パーセント、95歳を過ぎると約80パーセント近くの人が認知症と診断されています。
また、認知症は必ずしも高齢者だけの病気というわけではなく、若い世代でも認知症になることがあります。64歳以下で発症した認知症を若年性認知症と呼んでいます。65歳以下の方でも2.9%の方が診断されています。
参考資料: 「平成28年版高齢社会白書 概要版」(厚労省)
認知症になると65歳以下でも特定疾病に当てはまり介護認定を受け介護サービスの利用が可能になります
ポイント②認知症への対応は周囲の環境整備、介護サービスの利用が重要!
- 認知症の中核症状は服薬で進行を緩和できるが、完治はしません。
- 中核症状があることによって起こる行動心理症状へうまく対応する環境が重要
しかし、介護する家族の精神的負担はすごく大きいです
- 介護サービスを利用しつつ、介護者が冠婚葬祭など外せない用事をしたり、休息をとってリフレッシュすることがとても大切
認知症状は、大きく分けて、中核症状とBPSD(行動・心理症状)の2つのタイプに分ける事ができます。
中核症状は脳の細胞が減ってしまうことで起こるのでほぼ全員に、服薬等で進行を緩和することができますが、完治することはありません。
記憶力や理解力が低下した結果、日常生活や社会生活の全般が不自由になり混乱が起こります。この混乱から周辺症状と呼ばれる困った症状が現れます。これらを行動心理症状と呼びます。
不安やうつ状態、暴言・暴力などがあります。この行動心理症状は中核症状に伴い出てくる症状で、個人差がとても大きく、環境や周りの人の対応によって変わってきたりします。この周辺症状は悪化も改善もします。本人が安心できるような関わりをすると減らせますし、間違った関わりをすると悪化してしまいます。
精神的負担を強く感じる介護者は42.9%であり、身体的負担を強く感じる介護者(25.2%)に比べると多い。また経済的負担を強く感じる介護者も17.4%であり、認知症の人を介護する負担は大きいといえます
参考文献:社会福祉法人東北福祉会認知症介護研究・研修仙台センター
平成29年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業)
:認知症の家族等介護者支援に関する調査研究事業報告書. 2018
認知症の方を介護をするためには、介護者の精神的負担を軽減することが重要になります。そのためには介護サービス等の利用をして、通いのデイサービスで本人は入浴等のケアやリハビリなどを受け、家族は休息する。また、短期のお泊りであるショートステイを利用してご家族が冠婚葬祭への対応やリフレッシュなどを行っていく必要があります。
ポイント③フレイルと診断されると寝たきりになる確率が上がります
- 75歳以上の方の35%はフレイルと診断されています
- フレイルになると介護を要する確率が8倍に上がります
- 介護サービスを利用して運動機会を持つことで改善する可能性があります
介護を必要とする理由の第三位に高齢による衰弱があります。このような高齢による衰弱や虚弱は「フレイル」と呼ばれます。75歳以上になると35%の人がフレイルと診断されています。そして、診断後2年間のうちに要介護状態になるリスクが健康な人の4.8倍になると言われています。(東京都医師会ホームページより)
フレイルとは以下の状況を指します。
- 体重減少:意図しない年間5kgまたは5%以上の体重減少
- 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
- 歩行速度の低下
- 握力の低下
- 身体活動量の低下
参考:長寿健康ネットホームページ
このようなフレイル状態になることで、筋力の低下がありそのせいで動かない、外に出ない、外出しないので運動力も減ってよけいい筋力低下が起こることになります。また、動かないことで食事量が減り、よけいにフレイルが進行することになります。
「元気だと思っていた親が突然自分で生活をすることができなくなった」「突然にようにやってきた介護(親への対応)」の原因はフレイルがひそかに進行していたという事例もケアマネージャ等介護の専門家から聞くことがあります。
フレイル状態が進むとADLと呼ばれる身体能力や身の回りのことを行う能力が低下し、介護を要すことになります。このような悪循環を断ち切るためには、定期的な運動を徐々に始めていく必要があります。介護サービス等を利用して、送迎付きのリハビリができるデイサービスやデイケアなどの利用が考えられます。
介護が必要になる原因のまとめ
ポイント①
- 認知症は年齢が高くなると誰しもがなる可能性がある。また65歳以下で発症する例もあるので、介護費用等備えが必要である。
ポイント②
- 認知症はその疾患の性質上家族介護は精神的負担が高く、介護サービスでの介護者の負担軽減が重要である。そのための費用も必要となる
ポイント③
- 高齢になると虚弱=フレイルに落ちいりやすくなる。フレイルは75歳以上の方で35%おられ、フレイルになると、介護状態になる可能性が健康な人の8倍になる。
このように、介護は介護者にとって突然やってくるもののように感じられ、昨今の社会では、人口構造や核家族化が進み家族のみで対応することが難しくなってきている。特に、認知症については、同居家族であっても対応に精神的負担が高く介護サービスなど制度施策の利用が必要となる。
ポイント④公的介護保険では賄えない費用があります
- 公的介護保険を使ってもカバーできない部分がある
- 要介護1の方で通所介護と訪問介護を週3回づつ使うと自己負担は25000円/月程度
- 要介護5の方で特別養護老人ホームに入所すると毎月10万円程度はかかる(もっと高い場合もあり)
- 高額になる場合もあるので、年金以外での費用の準備が必要です。
某保険会社のホームページでは「介護にかかる費用の総額 平均1,421万円 公的介護保険でカバーされる費用 平均927万円 公的介護保険の自己負担費用 ご自身やご家族で負担しなければならない費用 平均494万円」とあります。
公的介護保険が使えると言っても様々な制限があります。そのため、保険でカバーができない部分が存在する場合があります。実際の事例で介護費用がどの程度かかるのかを見てみると
要介護1の認定があり自宅で介護サービスを受けておられる方の事例
※公的介護サービスの利用負担は所得によって1~3割です。
通所介護(デイサービス)を12回利用、訪問介護(ヘルパー)を月に12回利用した場合
週間スケジュールにするとこんな感じ
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
訪問介護
10:00~11:00 |
通所介護
9:00~17:00 |
訪問介護
10:00~11:00 |
通所介護
9:00~17:00 |
訪問介護
10:00~11:00 |
通所介護
9:00~17:00 |
大体の概算ですが・・・・
訪問介護 週3回→月12回 一回一時間 一割負担なら約400円で 400円×12回=4800円
通所介護 週3回一月12回 一回8時間 一割負担なら約1000円 1000円×12回=12000円
合計16800円(一割負担) 33600円(二割負担) 50400円(3割負担)となる
これに通所介護で食事が出れば食事代別途かかるため、もし700円/一食だとすると700×12=8400円がさらに加算されることになります。
一割負担の方でも概ね25000円程度は毎月介護費用として掛かっていく計算となりますね。
また入院や短期のお泊り(ショートステイ)を利用するとさらに費用はかさむことになります。
※介護サービス費は概算です。実際には施設によって多少違ってきます。食費も施設によって設定が異なります
要介護5で施設入所されている方の事例
終身で入所できる介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所するとして
費用は「介護サービス費 + 居住費 + 食費 +その他」の合計で計算します。
介護サービスは要介護5の方で一月に
24000円程度(一割負担) 48000円程度(二割負担) 72000円程度(3割負担)となります。
居住費が個室で1171円/日→31日として36301円
食費が1445円/日→31日として44795円
合計で1割負担の方でも105000円程度はかかる計算になります。
※上記の計算の介護サービス費等は概算になります。また、居住費、食費は各施設によって設定が異なりますので実際の値段とは異なります。
居住費、食費は「基準費用額(厚労省)」を参考に設定しています
居住費、食費については所得によって自己負担下渡額の設定があり減額になる可能性があります。また、介護サービス費についても自己負担限度額が決められていますので、一部償還される可能性があります。この辺については、個々人の世帯状況や収入額などによってかなり変わってきますので、詳しくは個人の事情を踏まえてお住いの市町村に訪ねていただくと良いです。
介護施設への入所費は以前の記事でも詳しく書いているのでよかったらご覧ください
このように、在宅での介護サービスの利用、施設に入所しての費用のどちらについても年金だけでは賄えない可能性があるので、費用が嵩んだときや突発的な費用負担に対応するために介護資金が準備されている必要があります。
最近では民間でも【介護保険】(要介護がでたら給付金が出るような民間保険)の商品が色々とでているので、そういったものを考えるのもいいかもしれません。
最後に
いかがだったでしょうか?
今日は、介護保険を使うことになる原因とその時にかかる費用について書いてみました。最近よく「介護が突然にようにやってきて・・」困っている方の話を本当によく聞くので、簡単にまとめてみました!
皆さんも、こんなことで困ったーなどあれば何でもいいので教えてもらえるとうれしいです!
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