皆さん、こんにちは!
今日は、シリーズ化しつつある「身寄りがない方の支援」その③です。
毎日、続々と身寄りがない、親族の協力が得れないという方の困りごとが寄せられて、すごく悩んでいます(泣)
専門職の皆さんも、身寄りのない方を受け持たれることってありますか?そんな時に、いろいろ支援を行う中で困ったことが起きてませんか?
そんな困ったことの一つ「身寄りない方の財産」について今日はご案内いたします。
身寄りがないシリーズは過去の記事にもありますので下記にリンクは張っておきます。
身寄りがない方に判断能力の低下があると成年後見制度を使いましょう!
ご親族さんの支援が得られない「身寄りがない方」の支援において、一番ネックとなるはずばり「金銭管理」だと思います。
銀行に現金をおろしに行けない、支払いができない、重要書類がなくなる、書類手続きができないなど様々な問題が出るでしょう!
そんな時に制度として利用できるのが「成年後見制度」もしくは「日常生活自立支援事業」となります。
成年後見については過去に記事を書いてますので参考にしてください
日常生活自立支援事業はお住いの市町村にある「社会福祉協議会」へ聞いてみましょう!
身寄りがないだけで判断能力はしっかりしている人は?任意後見の活用!
「ご家族には縁がなく、身寄りがない状態ではあるが判断能力はしっかりとしています。」という方については、「備え」が必要です。
一つは、今は判断能力大丈夫だけど将来的に何かの原因で判断能力が低下するなど「将来への備え」として任意後見制度の利用が考えられます。
1.任意後見制度とは
任意後見制度とは、将来、認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、本人に十分な判断能力があるうちに後見人をあらかじめ自分で選び、財産管理や療養看護などの代理権を与え、任意後見監督人が選任されたときから効力が生じる成年後見制度の一種です。
通常の委任契約とは異なり、家庭裁判所から選任された任意後見監督人が受任者(任意後見人)の事務を監督しますので、本人の判断能力が低下した後の受任者による代理権濫用のおそれも回避することができます。
本人の意思を十分に反映させつつ、代理権濫用のおそれも回避することができる制度であるため、超高齢社会の現代においては積極的に活用が期待される制度であるといえます。
任意後見制度と法定後見制度には、主に以下のような違いがあります。
任意後見制度 | 法定後見制度 | |
---|---|---|
利用時期 | 本人に十分な判断能力がある時点 | 本人の判断能力が低下した時点 |
後見人の選任主体 | 本人 | 家庭裁判所 |
後見人の権限 | 任意後見契約によって定めた行為 | 民法所定の法律行為 |
取消権の有無 | ない | ある |
任意後見制度の種類
任意後見制度には、即効型・将来型・移行型といった3つの種類があります。
本人の健康状態や生活状態にあわせて、どのタイプの任意後見制度が合っているかを検討しましょう。
(1) 即効型
即効型とは、任意後見契約を締結した後、すぐに家庭裁判所に対し任意後見監督人の選任申立てを行うというものです。
任意後見契約時にすでに本人の判断能力が低下し始めており、すぐにでも任意後見を始めたいという場合にはこれを選ぶとよいでしょう。
なお、軽度の認知症であれば、任意後見契約自体は可能です。
(2) 将来型
一般的に任意後見契約を締結する場合には、生活支援、療養看護、財産管理などに関する事項について委任契約を締結します。
しかし、将来型は、後述する「移行型」のように生活支援、療養看護、財産管理などに関する委任契約は締結せずに、任意後見契約のみを締結するというものです。
(3) 移行型
任意後見契約の中でも最も使い勝手が良いのが移行型のタイプです。任意後見契約の締結と同時に、生活支援、療養看護(見守り契約)、財産管理などに関する委任契約の締結をするというものです。
それによって、本人の判断能力があるうちは当初の委任契約に基づく見守り事務などを行いながら、本人の判断能力が低下した後に任意後見に移行することになります。
判断能力があるといっても、年齢を重ねるうちに身体機能が低下して、それまで自分でできていたことが難しくこともあります。
現在のサポートともに将来の財産管理もお願いしたいという場合には有効な手段です。
任意後見制度のメリットとデメリット
任意後見制度には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
任意後見制度の利用をお考えの方は、メリットとデメリットを比較しながら検討してみましょう。
(1) 任意後見制度のメリット
任意後見制度のメリットとしては、以下のものが挙げられます。
①任意後見人を自分で選ぶことができる
任意後見制度では、判断能力が十分ある時点で自らの希望する人を任意後見人にすることができます。
法定後見制度では、誰が後見人になるかわからないという不安がありますので、信頼できる人物に自分の将来の財産管理などを任せることができるというのは大きなメリットです。
②任意後見人の権限もあらかじめ決めることができる
任意後見人の権限は、任意後見契約によって定められた事項に限られます。そのため、自分が希望する支援の内容をあらかじめ契約に盛り込んでおくことによって、自分の判断能力が低下した後も自分の意思を反映させた財産管理などを行うことが可能になります。
法定後見制度では、本人の利益を考えながら後見人は行動することになりますが、本人がどのような希望を示していたかがわからないため、十分に本人の意思を反映させることはできません。
③後見監督人による監督が期待できる
任意後見制度では、任意後見人の事務処理を家庭裁判所によって選任された後見監督人が監督することになります。
本人の判断能力がなくなった後も、任意後見人による不当な財産処分を防止することが可能となりますので、安心して利用をすることができます。
(2) 任意後見制度のデメリット
任意後見制度のデメリットとしては、以下のものが挙げられます。
①死後の処理を委任することができない
任意後見人の権限は、本人の死亡によって終了します。
そのため、本人が死亡した後の葬儀、自宅の片づけ、相続手続きなどを任意後見人に委任することはできません。
②取消権がない
任意後見人には、法定後見人に認められている取消権が存在しません。
本人が消費者被害になどによって不利な契約を締結してしまったとしても、任意後見人には、その契約を取り消す権限はありません。そのため、本人の保護としては不十分な場合もあります。
5.任意後見の流れ
最後に、任意後見制度を利用する場合の一般的な流れとしては以下の通りです。
(1) 任意後見契約の締結
任意後見契約の締結は、公正証書によって行います。公証人が関与することによって本人の真意による適正かつ有効な契約が締結されることを制度的に担保することが目的です。
任意後見契約を締結し、公正証書の作成が完了すると、公証人から登記申請がなされて、登記事項証明書に任意後見人である旨が記載されることになります。
(2) 任意後見監督人選任の申立
任意後見契約の締結後、本人の判断能力が低下した場合には、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行います。
任意後見監督人を選任するためには、少なくとも本人の判断能力が法定後見の「補助」に相当する程度になっていることが必要になります。
(4) 任意後見契約の発効
任意後見契約は、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されたときから効力を生じることになります。
任意後見契約が発効した後は、任意後見人は、任意後見契約に従って事務処理を行い、定期的に任意後見監督人に事務処理状況を報告しなければなりません。
任意後見のまとめ
超高齢社会が進むにつれて任意後見制度の利用も増えてくることが予想されます。
任意後見制度を利用するためには、判断能力が十分なうちに行わなければなりませんので、制度の利用を検討し始めたのであればすぐに行動することをおすすめします。
任意後見制度の利用にあたって分からないことや不安なことがあれば、弁護士にご相談ください
身寄りがないだけで判断能力はしっかりしている人は?遺言の作成を相談しよう!
任意後見は「判断能力が下がった時の備え」としたら、遺言は「死後の備え」となります。
遺言を書けば意思を残すだけでなく、自分の望む相手に遺産を残すこともできます。
法定相続のルールはありますが、遺言を残せばそちらが優先されます。
被相続人としては、自分の財産を、誰に、どのような形で残すかということについて、自分自身で決めたいと思うのは当然のことでしょう。また、自分の意思を残しておくことで、自分の死後、相続人間で無用な争いが生じることを防ぐことができます。
ところで、相続の場面では、通常の契約等における財産処分の場面と大きく異なることが1つあります。被相続人の死亡により相続は発生しますので、その後に遺言の内容が明らかになったとしても、その内容が相続人の意思に基づくものなのか、もう相続人に確認することはできません。しかし、確認ができないからといって遺言の内容を無視していいということになれば、遺言の意味がなくなってしまいます。
そこで、民法は、遺言について厳格な「方式」を定めました。「遺言をなしうる事項」について、方式に従った遺言がなされる限り、その遺言の内容を被相続人の意思として法的に保障することとしたのです。
逆に、民法の方式に従っていない場合は、法律上の遺言としての効力を持ちません。たとえば、相続人の一人が、「被相続人は自分の死後、◯◯に□□をあげると言っていた。間違いない。」などと主張しても、法律上は意味がありません。その内容が本当に被相続人の最終意思のとおりであることもあるかもしれませんが、民法の方式に従っていなければ、法律上の遺言としての効力は持ちません。
遺言の法的効力が認められるためにはルールに沿って作成することが必要
遺言の法的効果が認められるのは、民法や法解釈によってかなりルールが厳密に決められています
遺言の法的効力が認められる事項
相続に関する事項
- 相続分の指定または指定の委託
- 遺産分割方法の指定またはその委託
- 特別受益者の持戻しの免除
- 推定相続人の廃除とその取り消し
- 遺産分割の禁止
- 共同相続人間の担保責任の定め
- 遺留分侵害額負担割合の指定
財産処分に関する事項
- 包括遺贈および特定遺贈
- 一般財団法人の設立
- 信託の設定
身分に関する事項
- 認知
- 未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定
遺言執行に関する事項
- 遺言執行者の指定またはその委託
- 特定財産の遺言執行に関する特別の定め
その他
- 祭祀主宰者の指定
遺言の法的効力が認められない事項の例
- 債務の分割
例:借金100万円のうち、妻が30万円を、子が70万円を返済すること - 結婚離婚に関すること
例:私の死を契機に妻とは離婚する - 遺体の処置に関すること
例:私の遺体は研究解剖のために提供し、墓など作らぬこと
なお、遺言の法的効力が認められない事項であっても、遺言書に書くことが許されないわけではありません。
被相続人の生前の意向を知ることができるので、法的な効力の問題は別として、遺言書に書き込むことは考えられます。
遺言書のメリット
遺言書を作成することで、次に挙げるようなメリットを得ることができます。
自分の思うように財産を分配できる
「妻には家を残したい。子には不動産よりも金銭を渡したい。」などの希望がある場合、遺言書を残すことで、自分の希望どおりの遺産分割を実現することができます。
ただし、相続人の中には遺留分がある方もいるので、遺留分を無視した遺言を残してしまうと、遺留分を侵害された相続人から遺留分侵害額の請求をされるおそれがあります。遺言書の作成にあたって財産の分配方法を考えるときは、自分の希望が法律上も問題がないものなのか、専門家のチェックを受けることをおすすめします。
遺産分割協議のトラブルを防止することができる
自分の死後、自分の財産の分割方法について相続人たちに争って欲しいと思う方は居ないはずです。遺産分割協議のトラブルを防ぐためには、被相続人が遺言書を作成し、財産の分割方法についての指針を立ててあげることが重要です。「自分の相続人たちには遺言なんて必要ない」と思う方もいるかもしれませんが、外部の第三者が口出しをしたり、事情が変わったりと、トラブルになる可能性は色々なところに潜んでいます。もしものときのために遺言書を残すことが、相続人間の平和な関係を維持することに繋がります。
なお、あまりに不公平な遺言を残してしまうと、逆に相続人間にトラブルを起こしてしまう場合もあります。自分の希望を貫きたい場合もあるとは思いますが、相続人間の公平にも配慮した上で遺言書を作成しましょう。
遺言書の種類と書き方について
民法上、遺言の方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、危急時遺言、隔絶地遺言の5種類があり、このいずれかの方式に従っていないと遺言は無効になります。
この5種類の遺言は、大きく普通方式の遺言と特別方式の遺言に分けることができます。
普通方式は、本来の遺言の方式で、自筆証書、公正証書、秘密証書の3種類がこれに当たります。通常は普通方式の遺言を用いることになります。以下では普通方式の3種類の遺言について解説します。
他方、死が差し迫り、普通方式に従った遺言をする余裕がない場合に用いられるのが特別方式の遺言です。危急時遺言は、疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言しようとするときに用いられる方式です。隔絶地遺言には、伝染病などにより隔離された者の遺言(伝染病隔離者遺言)と船舶中にある者の遺言(在船者遺言)があります。
特別方式の遺言はめったに用いられることがありませんが、それぞれ厳格な様式を求められています。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が相続財産の目録以外の全文、作成日付および氏名を自書し、押印することによって作成する遺言のことです。
3種類の方式の中で、もっとも簡単な方式の遺言であり、費用もかからない方式です。また、証人を必要としないため、遺言の存在や内容をすべての第三者に秘密にしておくことができるという長所があります。
他方、遺言者が自身で保管する場合は、紛失、改ざん、破棄の危険や、方式の不備による無効のおそれ、表現が不適切で文言の解釈に争いが生じるおそれがあり、家庭裁判所での検認手続きが必要です。これらの点は自筆証書遺言の短所といえるでしょう。
ただし、法務局に保管した自筆証書遺言書については検認の手続きが不要です。また、法務局(遺言保管所)に保管することで紛失、改ざん、破棄を防止することができ、申請時には遺言書保管官によって、自筆証書遺言の(外形的な)適合性の確認もなされることが期待できるため、自身で保管するよりも安心です。
自筆証書遺言は、遺言者が相続財産の目録以外の本文はもちろん、日付も自書されている必要がありますし、署名も自筆であることが必要です。代筆は目録以外は一切認められません。したがって、自書する能力のない人は自筆証書遺言を利用することができません。
なお、押印については実印である必要はなく、認印でもよいとされています。
自筆証書遺言は、自分の死後相続人にしっかり読んでもらう必要があるわけですから、読みやすい字で、内容も明確にし、相続財産について遺漏なく記載することが求められます。また、遺言書を見つけてもらえなければまったく意味がありません。
さらに、以前は自筆証書遺言は全文自筆によるものとされていましたが、相続財産の目録については、自署の必要はなくなりました。相続財産の目録は登記簿謄本や通帳の写しでもかまいませんが、すべてのページに署名をして印鑑を押印する必要がありますし、目録の作成も適切に行う必要があります。
ですから、自筆証書遺言の内容を確実に実現するためには、作成段階から弁護士に依頼し、内容を確認してもらい、場合によっては保管も依頼しておくことが望ましいと言えるでしょう。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、公証人や証人の前に封印した遺言書を提出し、遺言が存在すること自体は明らかにしつつ、その内容を秘密にして遺言書を保管することができる方式の遺言のことです。
秘密証書遺言の作成要件は次のとおりです。
- ① 遺言者が遺言書に署名し押印すること
- ② 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること
- ③ 遺言者が、公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名および住所を申述すること
- ④ 公証人が、その証書を提出した日付および遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者および証人とともにこれに署名押印すること
秘密証書遺言には、遺言の内容を他者に秘密にできる、自書能力がなくても遺言を作成できると言った長所があります。
他方、作成手続きには公証人が携わりますが、遺言の内容にはタッチしないため、内容に疑義が生じるおそれがあります。また、公証人役場に遺言書の原本が保管されるわけではありませんので、遺言書の紛失、隠匿、未発見のおそれはあります。
そのため、自筆証書遺言と同様、秘密証書遺言の内容や保管について、最初から弁護士に相談しておくことが望ましいと言えるでしょう。
公正証書遺言
公正証書遺言は、次の方式に従い、公正証書で作成される遺言です。
- ① 証人2人以上の立会いのもと
- ② 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する
- ③ 公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者および証人に読み聞かせ又は閲覧させる
- ④ 遺言者および証人が筆記の正確なことを承認し、各自これに署名押印する
- ⑤ 公証人が、その証書が以上の方式に従って作ったものである旨付記して、これに署名押印する
公正証書遺言によれば、公証人役場で遺言を保管してくれますので、遺言書の紛失、第三者による変造の危険はほとんどありません。また、公証人が内容を含めて作成に携わりますので、方式違反による無効のおそれ、文言の疑義の発生等を防止することもできます。ですから、公正証書遺言は、3種類の遺言の中で、もっとも安全な遺言の作成方法と言えるでしょう。また、公正証書遺言では検認の手続きを経る必要がありません。
他方、公正証書作成には費用がかかること、証人2人とともに公証人役場に行かなければならないこと、遺言の存在および内容を証人に知られてしまうこと等の短所もあります。
公正証書遺言はもっとも安全な遺言の方法であり、積極的に利用してよいと思われますが、公証人とのやりとりや、どのような文言で作成するかなど初めから弁護士に相談しながら作成する方がスムーズに手続きを進めることができます。
遺言の検認手続きについて
公正証書遺言以外の遺言については、偽造、変造、滅失などのおそれがあり、遺言者の最終意思が保持されない危険性があります。
そのため、遺言が発見された場合には、公正証書遺言を除き、まず、家庭裁判所において遺言の方式に関する一切の事実が調査されることになっています。これを「遺言の検認」といいます。検認をすることで、遺言書の状態が確定し、偽造・変造が防止されることになるので、検認は、後日の紛争に備える保全の手続としての意味を有しているといえます。
なお、検認に当たってはいくつか注意点があります。
まず、封印されている遺言書の場合には、家庭裁判所において開封の手続を取る必要があります。勝手に開けることはできません。ただし、実務では、開封後に連続して検認の手続が行われるので、開封の手続だけを申し立てる必要はなく、封印したままの状態で遺言書の検認を申し立てれば、開封後直ちに検認手続が行われます。
遺言書を見つけても、決して即座に開封することはせず、家庭裁判所に検認の手続きを申し立てることが必要です。
また、検認はあくまでも遺言の方式の確認の手続きに過ぎず、その遺言の有効性を判断する手続きではありません。
遺言執行者について
遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言に記載されている内容を実現する人のことをいい、その内容を実現することを遺言執行といいます。遺言執行の具体例としては、不動産を指定された相続人に移転登記すること、預金の解約や払出しをすることなどです。
遺言の執行は、相続人自身で行うことができますが、遺言執行者が定められる場合があります。
また、遺言によって子の認知をする場合や相続人の廃除・その取消しをする場合には遺言執行者を置かなければならないとされています。
遺言執行者の選任
遺言執行者の選任は、遺言によるか、利害関係人の請求により家庭裁判所が行うものと定められています。遺言執行者に指定された者は、遺言者との関係やその遺言内容を検討し、就職するか辞退するかを決めることになります。
遺言執行者の権利義務
遺言執行者は、相続財産の管理その他、遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有していますが、まずは、遺言の内容を相続人に通知しなくてはなりません。そして、 遅滞なく相続財産目録を調整して、相続人に交付しなければなりません。また、遺言執行者は、遺言の内容を実現することが職務であって、必ずしも相続人の利益のために職務を行うものではありません。ですが、遺言執行者であることを示して行った権限内の行為は相続人に対して直接の効力を生じるものであり、遺言執行者には、委任契約における受任者の義務、責任、費用償還に関する規定が準用されることになります。
遺言執行者が選任された場合
遺言執行者が選任された場合は、相続人は遺言の対象となった財産について、処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができなくなります。
遺言執行者は自己の責任で第三者に任務を行わせることができます。また、やむを得ない事由により、第三者に任務を行わせた場合には、遺言執行者が相続人に対して負う責任は、復任者の選任および監督についての責任のみとなります。
遺言執行者の復任権
遺言執行者には法律の専門家でない人が指定される場合もあり、職務が広範にわたる場合もあるので、平成30年の相続法改正で、遺言執行者に原則的な復任権が認められることになりました。ただし、遺言で、復任権が制限されるなどの別段の定めがされた場合には、遺言者の意思に従うことになります。
遺言執行者としてなすべき事項は多岐にわたり、場合によっては訴訟等の対応が必要になることもあります。将来的に紛争に発展することが見込まれる遺言の場合は、あらかじめ遺言で弁護士を遺言執行者に指名しておくか、個別に対応が必要な事項について遺言執行者から弁護士に対応を委任するなどの対応が考えられるところです。
相談先は、法律の専門家!
任意後見にしろ、遺言書にしろ福祉関係の私たちではちょっと門外漢で正しいことがクライエントに情報提供ができないことがあるでしょう。
そんな時は、お住いの市町村の「無料法律相談」等の法律関係の社会資源を紹介するのも一つの手です。市町村によって運用が異なりますが、あらかじめ調べておくと良いでしょう!
また、そういった社会資源がない場合は「法テラス」の利用がいいかもです。「法テラス」では電話相談OKですし、支援関係者からの相談もOKのようです。
最近は、様々ウェブサイトでの相談なども可能なので活用していくいいでしょう!
最後に
いかがだったでしょうか?
私たちは福祉の専門家ですが、法律の専門家ではありません。しかし、クライエントの生活を支えるためには、法律的な知識も必要になってきています。難しいことを覚えるのはできなくても、ヒントを知っておくだけでも有用だと思います。また、何か機会をとらえて法律や自分の専門ではない分野の方とのネットワークを広げていくことも大事だと感じる今日この頃です。
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