【対応のレベルがあがる】自己覚知ってなんだ?【苦手が得意へ】

専門職向け

皆さん、こんにちは!皆さんは「自己研鑽」という言葉を聞かれたときに何を連想しますか?「知識を勉強」したり、「研修への参加」などを思い浮かべられる方も多いと思いますが、時間さえあれば自分一人でできる『自己覚知』について今日はご紹介します!

自己覚知をしていると、「ちょっと対応が大変な方」や「訴えが強い方」への対応が得意になるかもしれません!

ちょっと関連のある記事を過去に書いてますので、そちらもご覧ください!

『自己覚知』その名の通り自分を知ることです。

相談援助における『自己覚知』とは、他者への影響を自分がどう与えるのか?「自分自身の価値観」「倫理感、考え方」「思考の癖」「大切している思い」「譲れない思い」など気づくことです!

クライエントと関わる対人援助は「相手と自分の相互作用」なんですね。援助者とクライアントが相互に影響を与え合うことで支援が進められるとい風にも考えられます。そういった意味で、私たち援助者は良い影響をクライアントへ与えるよう努力する必要があり、その努力こそが『自己覚知』であると思っています。

自己覚知の第一歩!ありのままの自分を受け入れよう!

「受容」って聞くと、「相手のありままを受け入れる」ことを思い起こされるかもしれませんが、『自己覚知』では「自分のありまま」に気づき「自分を受容」ことが重要です!

援助者には、他者と自分をも含めた状況、援助関係やその時々に起こっている事柄を的確に理解し,様々なことに捉われずにクライエントに相対できるようにする必要があります。それが「相手を受容する」ってことですね!

そして、「相手を受容する」ためには、援助者自身がまず、ありのままの自己に気づき受容することが前提として必要なんです!

ありのままの自分を受容するということは、肯定的であれ否定的であれ、自らの価値観,偏見,先入観,行動や反応パターン,パーソナリティなどのより深い自覚を行うことになります。つまり、自己覚知とは相談援助をする際に自分の考え方や価値観による先入観、偏見などがクライエントへの受容に入らないようにするために、まずは自分自身を理解しておくことなんです!

援助者がセルフコントロールができていないと、クライエントへの支援を阻害する!

基本的には人間であればだれでも、多様な考え方や固定観念が存在します。人は誰でも自分の主観を通して色々なことを感じ意味づけをしていきます。自分が自分で考える限り客観的などということは有り得ないということです。

しかし、対人援助の場では自分の価値観でクライエントの話しを受け止めるなど、自分の価値観でクライエントを図ってはいけません。それでは「クライエント」を受容していることにならず、クライエントの価値観や感情に寄り添い、その人自身が結論を導き出せるように支援ができません。

しかし、そうはいっても人はだれしも自分の価値観があり、その影響は回避できません。

そこで、「自分がどのような価値観を持ち」「どのようなことに感情が動くのか?」をあらかじめ知っておくような、『自己覚知』を行う必要があるんですね。

自分の感情の動きに自分でいち早く気づき、その影響を見積もる、あるいはコントロールして支援を行う必要があります。

たとえば、相手の話しを聞いているときに「その考え方はちがう」と思ったとします。しかし、それは自分の価値観であって、クライエントの価値観ではないですよね。そのため、自分が感じた「違う!」という考えをセルフコントロールして、「クライエントはそう思ったんだー、へー、そーなのか」という風に、クライエントがそう思ったという事実をそのまま受け止めて、クライエントの考えに寄り添いながら話しを聞くよう努める必要があるってことですね。

自己覚知の良いところ!「クライエントの感情に振り回されなくなる」

『自己覚知』を怠ったまま援助を実践するのは、援助者自身のフィルターである「価値観や感情」でクライエントの考えが判断され、援助者の価値観や感情に支援が左右されてしまうことになります。これは、どういう意味かというと、怒っているクライエントの怒りに対して、援助者の判断を挟むことで援助者自身の感情が想起されて対応が混乱する。これいがいわゆる「クライエントの感情に振り回される」ということです。

『自己覚知』ができていないことで自分のバイアスが把握されておらず、アセスメントや問題や課題等の把握を歪めて判断することになっている状態です。これは、クライアントにとっても援助者とっても不利益であり、情報収集や分析が歪んでいるため正常にソーシャルワークプロセスを進めることができなってしまいます。

最悪の場合、クライアントとの信頼関係も崩れ去ることになってしまい、支援そのものが実行不可能ということになる場合もあります。

そのため、『自己覚知』とは対人援助職、ソーシャルワーク専門職としての最低限のマナーであり、ベースであるとも言えるでしょう!

自己覚知=自分のメカニズム

人は「主観で受け止めると感情が動く」ということがあります。

私自身が感情的になるのは、主観つまり自分自身の認識で受け止めているときです。自分事に対しては敏感に受け止め、それに対して感情が反応するようになっているということですね。

たとえば、「私はあなたが嫌いです」と言われたら、私は感情が動き「怒ったり」「悲しんだり」「不快に感じたり」といった心を感じるはずです。これは「嫌い」という投げかけを、自分事として自分にベクトルが向いて、自分の主観で「嫌いといわれたこと」に対して「なんでだ!」と私自身も怒りを想起しているからですね。

しかし「私はあの人が嫌いなんです」と自分とはあまりかかわりのない第3者の人の話しを聞く時は、あまり感情が動かない。「どうしてそう思うの?」と、自分ではなく相手にベクトルを向けることができる。つまり、自分の主観ではなく相手の主観にベクトルを向けることができているわけです。

要はこの「相手の主観にベクトルをむける」ということを、どのような場合でもできるようになるには『自己覚知』が必要であるということです。

『自己覚知』のやり方。その①「自分の支援を振り返る」

一つは目は、「支援の1つ1つについて、その都度内省するように振り返る方法」です。

「どうして私はさっきのような言葉をかけたのだろう?」「私がAさんは私の話すことに○○な反応をしたんだとう?」などのように考えて掘り下げていくことで、自己覚知をすすめられます。

オススメは紙に書き出すこと、逐語録を作ることです。

紙に書き出すことで、客観的に振り返りやすくなるからです。

ノートやルーズリーフ、手帳、どんな紙でも構いませんから、気持ちがリアルなうちに紙に全てかき出すことがポイントです。

ただし、自分で振り返る方法には短所もあります。

それは、自分で気づけないポイントはいつまでも気づけないということです。

人に言われて初めてわかることもありますよね。

そこで、人と振り返る方法が有効になるわけです。

『自己覚知』のやり方。その②「人と振り返る」

自らの支援について、だれか他の人と振り返ることで自らの特性や支援のクセを知る方法です。

メリットは、意見や指摘をもらえるため、自分では気づけないポイントに気づくことができるということです。

デメリットは、傷つくかも、しんどいってことです

自己覚知は、自らの良い面も悪い面も直視することです。

他人にダメ出しされたり、痛いところを突かれたり、すごく恥ずかしい内面をさらけ出すことにもなります。決して楽しくできるものではありません。

でも、自己覚知の修練を続けていると、見違えるように支援の精度や効率があ上がることがあります。

自らの特性を熟知して律する人を他人がみると、まるで、魔法使いや、なにか特殊能力や技術をもっているように見えるでしょう。しかし、それは高度な『自己覚知』のよるセルフコントロールの結果ということで、努力によって誰にでも獲得が可能なものではあります。

『自己覚知』のやり方。その③「事例検討」

「人と振り返る」と似ていますが、事例検討などの機会があれば事例提出することで振り返りを得ることができます。

ただし、事例検討の苦しみを乗り越える必要があります。

事例検討について、経験のある方ならわかると思いますが、事例提供者は準備が大変だし、当日の事例検討が怖いし、緊張するし、ダメ出しをくらうので終わってからも落ち込むしで、辛い課題となりがちです。

事例提供者は、わかっていないこと、自らの支援のクセに直面します。批判されているわけではなくても、さまざまな質問を受けるので辛くなることがあるでしょう。

まずは、職場や職能団体など仲間が多い安全安心な場で積極的に事例提供を行ってみましょう!

『自己覚知』のコツ!「ダメな自分でもいいことにする」

ここまで、『自己覚知』のやり方をご紹介してきましたが、どんな方法にしろ自己覚知を進めると「できてい自分」「未熟さ」に直面することになります。それはめっちゃしんどいです。

『自己覚知』をするなかで「自分はなんて悪い奴なんだ」「こんな一面があったなんて、恥ずかしすぎる・・・」と思うことがあるかもしれません。

例えば私の場合、事例検討会でダラダラと事例を紹介し続け、事例を読むだけで時間を終えるという恥ずかしい過去があります。

「話が長くて、くどくて、さらに分かりにくい」という自分の特性に直面したわけですね。(このブログもその特性が存分に発揮されています(泣))

だからといって、自分自身を責めるばかりではしんどいだけです。いったんは凹むかもしれませんが、どこか切りの良いところで「ダメダメな自分だけど、これから気をつけるし、もういいことにしよう」と許してあげてもらえるとうれしいです。

自己覚知の目的は、自らを変えることや否定することではありません

気づいていなかった内面に気づき、自覚し、支援のクセを軌道修正できるようになることです。これが最重要です。

最後に

いかがだったでしょうか?今日は自己研鑽の一環として『自己覚知』についてご紹介しました。私自身の実感としては『自己覚知』をやってみて、セルフコントロールが身につくと、「いやだな」「めんどいな」と思っていた苦手なクライエントの対応が劇的にスムーズになったという経験があります。

それまでは「苦手なクライエントがいるなんて自分は専門職失格だな」とか、考えていましたが、今では「そういう苦手な人もいる自分とうまく付き合おう」という感じになってます。そう考えると、立派な人間を演じる必要がなくなってちょっと楽になるという効果もあります。(笑)

さて、皆さんは自己研鑽ってどんなことされますか?もしよかったらコメントいただけると嬉しいです!

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