皆さん、こんにちは
今回も続きです!前回の話を踏まえて、今回は地域包括ケアシステム、考えていきたいと思います!!
地域共生社会の実現などから「全世代に対応した相談支援体制」などが注目されている現状があります。これまでも地域包括ケアシステムの構築について、早10年以上各市町村において取り組んできていますが、現場にいる人間としては「果たしてうまく行っているのか?」と疑問に思う今日この頃です。
地域共生社会に関わる検討において、この地域包括ケアシステムについても触れらてきました。その中で、全世代型の地域包括ケアシステムという概念も登場し、これが重層的支援体制整備事業のもとになっている部分もあります。
そこで、今日はこの地域包括ケアシステムを拡大し全世代に対応するということについて、ちょっと考えていきたいと思います。
今回も、私個人の感想を書きまくるのであまり参考にはならないことをご了承下さい。
地域包括ケアシステムとは
そもそも、地域包括ケアシステムとは高齢者福祉領域において推進されてきました。
可能な限り住み慣れた地域や自宅で日常生活を送ることを望む人が多いでしょう。特に高齢の方はそその土地に長年住まわれてきた経緯があったりすると、愛着や友人知人などの知り合いも多く、住み慣れた場所で暮らしたいというニーズが強いことが多いです。また、子どもの迷惑をかけたくないので施設に入るという方もいらっしゃるとは思いますが、自分の家でできるだけ長く暮らしたいという方も多いのではないでしょうか?
このような、高齢者を取り巻く介護問題も含めたニーズに対応するために地域包括ケアの概念は生まれました。
しかし、地域内で介護が必要な高齢者を効率良くサポートするためには、家族のメンバーや地域の医療機関、介護の人材が連携し合い、状況に応じて助け合う必要があります。
そこで、地域における「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の5つのサービスを一体的に提供できるケア体制を構築しようというのが、地域包括ケアシステムでありました。
また、地域包括ケアを推進する中で項目ごとに切り分けて考えるのではなく、「住まい」を中心として、入院、在宅、入所など状況に応じてシームレスに介護と医療が連携して一体的に提供される体制、必要な生活支援がフォーマルインフォ―マルの境目なく提供される、そして、地域活動の中で生きがいづくりとして、介護を補完するものではなく、QOLの向上を主眼とした「介護予防」を行えるようにしようというものです。
こんな感じの、①地域の中で活動することで役割や生きがいをもつことによる介護予防、健康増進を行って、②様々な要因によって生活支援が必要なると地域の中にあるオリジナルな仕組みや便利な企業等が提供するサービスが利用できて、③介護や医療が必要になったら、すぐに専門家にアクセスでき、在宅、入院、入所などの住まい方に応じて切れ目なく介護医療が一体となったサービスが提供される、という「理想」が「地域包括ケア」です。
ただし、この「理想」は地域の人口、環境、社会資源などによって全然変わってくるので「ご当地モデル」とも呼べる「理想的な地域包括ケア」が、地域ごとに存在するということが考えられます。
自分でもちょっと何を言っているのか分からなくなくらい複雑ですね!
しかも、地域ごとに「理想」が存在するということが事態を難しくしています!ですが、画一的な介護保険のような制度で対応できないのも事実ですので悩ましいところです。
次から、一応項目ごとに内容を見ていきましょー
住まいと住まい方
地域包括ケアの理念は「住み慣れた地域」ということにありますが、「絶対今の家にいるのが最善と」いうことではなく、経済的に可能な範囲で「選択できる」ということが肝心であると言われています。
全国では「空き家の活用」等様々な取り組みがされていますが、地域包括ケアは全般的にそうですが、地域性を生かした「ご当地モデル」で考えていくことが求められます。
自宅、空き家の利用、サ高住、有料老人ホーム、介護福祉施設等様々な選択肢が、まずはあることが地域包括ケアにおける「住まい」の機能にあたると考えられます。
一方で、様々な選択肢を支える「住まい方」についても整備が必要です。自宅を選択した方が介護状態になってしまって、結果的に重篤化したり、生活に困難を抱えるのでは本末転倒です。
「住まい方」は、実は当事者が必要な選択ができるように必要な情報が届いているか、そして、どのような選択肢を選んだとしてもそれを支えることができるのか?あるいは、自宅を選らんだ場合に長く在宅生活を継続するための「介護予防」「フレイル予防」等についても考えられているのか?など、様々な観点があると思われます。
皆さんの市町村では、どんな取り組みが行われていますか?
医療
元厚労省役人の野村晋さん著の「「自分らしく生きて死ぬ」ことがなぜ、難しいのか 行き詰まる「地域包括ケアシステム」の未来 」(光文社新書 2020/3/17)によると、その名の通り健康に生きるための医療や死に場所を選ぶための医療について、日本ではほとんどの人が選べないという現状が紹介されています。
誰もが一度は聞いたことがある「畳の上で死にたい」は、日本ではほとんどなく、病院で亡くなることが当たり前になっています。もちろん、在宅医療、訪問診療などは、様々な方の努力によって整備されてきていますがそれでも、必要十分はとても言えない現状があります。
これは、在宅看取りに対する医療資源の問題だけではなく、当事者を支える家族の支援、グリーフケア、事前指示、ACPや人生会議等の取り組みの普及など様々な面での問題課題があると思われます。
また、看取りだけではなく、もともとが地域包括ケアは慢性期疾患を抱える高齢者をシームレスに支える、医療介護連携を志向して始まった概念ですので、医療介護福祉など連携について考えていく必要があります。
当然ここでも「ご当地モデル」です。皆さんの市町村はどんな感じでしょうか?
介護
地域包括ケアシステムは、急速に進展する少子高齢化に対応すべく、医療・介護サービスを作り替えることを目的に構築されてきました。
そのため、介護サービスは医療と一体的、あるいはシームレスに提供されることを目指しています。これは医療の方でも述べました。
もう一つは、重度の介護が必要な方でも在宅での対応を可能とする、24時間365日のサービス提供を行えるシステム構築という方向性もありました。これを具体化したのが、定期巡回随時対応型訪問介護看護等の地域密着型サービスです。
これらは資源としてあれば確かに介護度が高くとも在宅で生活するためには、不可欠と言ってもいいほど重要ではあります。しかし、十分に量や質が担保されているかとうところで市町村によって差がありそうです。
また、一方で施設・居住系サービスに、特養や老健、介護療養型医療施設などの施設のほかに、小規模多機能型居宅介護のような地域密着型サービスもあります。後者のほうがより臨機応変な対応が可能です。ただし、これらの利用には経済的要件が大きく関わってくることが、専門職の皆さんにはお判りでしょう。
つまり、地域包括ケアにおいて医療、在宅介護、施設・居住系サービスの切れ目のない連携による支援を志向しているわけですが、これらを受けるための経済状況や生活様式ななども個々人の要件に合わせたケアマネジメント(介護保険サービス調整のみを指すものではない)が非常に重要と言えるでしょう!
予防
介護予防は、地域包括ケアシステムの要・土台となる要素です。要支援1、2の方が利用できる介護予防サービス、新しい総合事業もこれにあたります。
しかし、地域包括ケアについて検討されている会議等においては、介護予防は互助として捉えており、地域交流・社会参加の機会の提供、地域の中での支え合いに参加することこそが介護予防につながるものであると語れています。
この辺が、「ご当地モデル」で進めなければならないものの最たるものですね。
生活支援
生活支援は、衣食住に関わる面を助けるだけではなく、地域の中でコミュニケーションや見守りを行うなど、幅広い支援が考えられます。
実は、この生活支援は上記した介護予防と一体的に考えられています。
これは介護予防では、要介護状態にならないためにも「社会参加することが介護予防につながる」と積極的に考え、高齢者本人の参加意欲を基本に地域の中で継続できる活動を推奨していることに関係します。
つまり、なんとなくですが「生活支援」とは、地域の中での生活支援を住民同士の互助で行うイメージをがあり、その互助に高齢者が参加することで、互助=生活支援に関わる活動の、それそのものが介護予防であると考えられているいる感じですね。
まぁ、生活支援に関わる互助に社会参加することで、それがその人の生きがいに繋がって結果的に介護予防になるというのはすごくよくわかります。
生きがいが、活動性に直結するのは全く賛成です。
しかし、なんとなく社会参加→生活支援を強要されるような感じがあるのも事実だとも思います。
なので、言い換えると「介護予防」とは「生きがいづくり」である。
それで、その「生きがい」の一形態として「生活支援っぽい互助」に関わるというのはありです。しかし、介護予防だけを考えるのであれば、「生きがい」であれば何でもいいですよ!楽しいこと見つけましょーという感じでしょうか?
とはいえ、小地域のなかで「生活支援」があるに越したことはありません。地域活動としての友愛訪問や会食が代表的なものですが、個人的には福祉有償移送、有償福祉活動なども含めて幅広く考えていく必要があるような気がします。
このあたりについては、地域包括ケアシステム構築のために、厚生労働省から市町村にガイドラインによって、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を位置づける事となっています
ガイドラインによると
生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)は、高齢者の生活支援・介護予防の基盤整備を推進していくことを目的とし、地域において、生活支援・介護予防サービスの提供体制の構築に向けたコーディネート機能を果たす者を「生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)」とする。
となっています。
なので、地域包括ケアにおける生活支援は生活支援コーディネーターが関わっていくことに現状ではなっていると思います。
この生活支援に関わるお話は奥が深いので、また別の機会に生活支援コーディネーターなどについて共に記事を作っていきたいと思います!
地域包括ケアシステムの植木の絵
この図は有名な「地域包括ケアの植木」ですが、出典は平成28年3月 地域包括ケア研究会報告「地域包括ケアシステムと地域マネジメント」になります。
この図では、前述した五つのサービスを一体的に地域の中で提供するために必要な要素が示されています。
植木鉢の皿から順に説明していきます
〇本人の選択と本人・家族の心構え
「住まいと住まい方」「生活支援」「介護」「医療」「予防」の5つの構成要素には含まれないものの、地域包括ケアシステムを支えていく重要な要素です。地域包括ケアでは、多様な「ご当地モデル」による支援やフォーマルサービスがあり、それを個人の経済状況や生活様式に合わせて選択していく必要があります。
つまり、どのように「生き方」あるいは「最期」を選択するかということが「本人の選択」となります。また、その本人の選択をしって「家族の心構え」を形作っておく必要があります。これらは、具体的にACPや人生会議などの取り組みで具体化されていくことが期待されます。
〇すまいとすまい方
上で書いたのと一緒です。植木鉢では「鉢」として表現されています。
〇介護予防・生活支援
繰り返しになりますが、介護予防と生活支援は同じ土俵のものと国によってと捉えられており、植木鉢では「土」と表現されています。
土であるところの介護予防と生活支援を土台(前提)として、この後の項目である介護・医療・福祉がなり立つという熱いメッセージですね。
〇介護・医療・福祉
少子高齢化等の人口構造の変化によって、人材不足になると言われている者です。植木鉢では「葉」として表現されており、もしも、「土」である介護予防と生活支援がいい感じなっていなければ、「枯れると言いたいのかな?」と、この絵が出てきた当初は思いました。
上でも書いたので重複しますが、これらの「葉」は、個々人の抱える課題に合わせて「介護・リハビリテーション」「医療・看護」「保健・予防」が専門職が有機的に連携し、一体的に提供されることの必要性について示されています。つまり、やはりケアマネジメントに基づき、必要に応じて生活支援と一体的に専門的な支援として提供されるべきものであるという感じです。
最後に
いかがだったでしょうか?
今回は、地域包括ケアシステムについて改めて考えてみました。
地域包括ケアは今日の高齢者福祉における中心概念ですが、とにかく沢山の要素が絡まり合い複雑です。また、何度も出てきた通りに地域特性に合わせて構築する必要あるので、自治会単位や広くても中学校区程度の圏域で考えていく必要があります。専門的な支援体制については市単位くらいでもいいかもですが、こと地域特性や地域住民との協働となると小地域で行っていくのがセオリーです。
なので、これまで地域包括支援センターやケアマネジャーが行ってきた個別支援に加えて、地域特性を知るための地域アセスメントや地縁組織や地域住民さんと協働するコミュニティワーク的なことも一体的に行っていく必要があるということですね。この地域支援を担うのが、社会福祉協議会や生活支援コーディネーター等であるという感じですが、なんとなく無茶なことを言われているのは私の気のせいでしょうか?
皆さんからの、ご意見、ご感想お待ちしております!
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