皆さん、こんにんちは!相談援助職ならだれでも思ったことがあると思うのですが「アセスメント」ってなんなのか?ベテランの方なら、パッとわかりやすく答えてくれるのだろうと思いますが、私はこの「アセスメント」という言葉に悩まされ続けてきました。もしかしたら、そんな人が他にもいるかもしれない!と急に思い立ち記事にしてみようと思いました。
ここからは、合っているかどうかわかりませんが、私が色々な人や書籍、研修等で教えてもらったりしたアセスメントをまとめています。正直参考になるか分かりませんが、よかったら見て行ってください。
アセスメントって何なのか?
アセスメントとは本来、情報収集と分析まで指す言葉です。しかし、一般的に使われる場合(情報収集)のみが、アセスメントの意味として使われることも多いです。ここでは、昔から「アセスメントが大事」「アセスメントが出来ていない」とか言われ続けてきたので、腹が立って調べてみた、私の理解を書いていこうと思います。
まずは、アセスメントを情報収集と分析(問題課題)に分けて枠組みを示してみます。
【アセスメント(情報)の枠組み】
- 支援対象者の基本情報(氏名、年齢、住所等)
- 世帯構成(同居、別居、関係性や関りの頻度)
- 医療情報(既往歴、通院先、通院頻度等)必要に応じて他の世帯員の医療情報
- 経済状況(収支、金銭管理の方法や担当者)
- 生活状況(下記のフォーマル、インフォーマルの関りと統合しても可)
- フォーマルな支援の入り具合、担当者(CM、CW、サービス事業者等)
- インフォーマルな資源の関り(ご近所、サロン会食等、ボランティアさん、民生児童委員さん等)
- ※アセスメント(情報)を共有するときはなるべく、上記の順番で構造的に整理して伝えていくと伝わりやすいです。相談者が話した順番など情報整理がされていないとちょっとわかりにくいときがあります。また、視覚的に表すことでより理解が深まる気がします。
【アセスメント(情報)の枠組み、階層】
視覚化では、本人を中心とした世帯、つまりは家族の情報と本人の家族関係性などを視覚化すると一気に把握できて良いです。ここまでは結構、経験者がケースワークやケアマネジメントをしていると深く考えていないかもですが、ほとんどの人が無意識にでも行っていると思います。ここからは、更にその先で質の良い支援をするためには「本人」「家族」の情報だけでは不十分です。本人や家族の事が分かって来れば、次は本人が地域社会とどうかかわっているのか?更に、その本人が住んでいる地域社会はどんな様相になっているのかとアセスメント(情報収集)を拡げていく必要があります。
下記の図はアセスメントの広がりについての概念図です。核になるのが、個人因子です。その、周りに家族関係、友人や地域との関わり、一番大きな円はクライエントが住まう地域の情報です。インフォーマルな社会資源も含め情報収集することでより、より現実的なクライエントの生活が見えてきます。
特に、個別支援を展開するためには最低限核となる個人因子とその家族等の把握は必要となるでしょう。しかし、更に広い階層を把握し本人の生活を把握することで支援の幅が広いがるはずです。
(ちょっと事例)
身寄りのないFさんは認知症があり、お金の管理ができず近隣の方からセンターへ相談がありました。関わってみるとい認知症はあるものの、ある程度身の回りの事ができているが複雑な手続きや、お金の引き出しが出来ていない状況でした。身寄りがないので後見につなぐしかないのですが、その間3か月から6か月どうしていくか?食事は弁当、お金はセンターと市が本人を連れて引き出しに行く事にしました。介護サービスも使っていくのですが、いかんせんフォーマルなサービスでは休日夜間の見守りが行えず、Fさんは「鍵を失く した」だの、「ご飯食べていない」だの昼夜曜日関わらず不安になって泣きます。本人の個人因子しかアセスメントしていないと対応はここで詰みますが、幸いなことにこのFさん以前は自治会長をしており近隣に友人が沢山いるし、民生委員さんと知り合いでした。よくよく民生委員さんに聞いてみると、地域の会食にも誘ったら来ているそうですでにご近所の方と顔見知りでした。介護サービスで訪問看護と往診を入れていたので、何か体調が悪そうなときは「訪問看護」、お金の事を言っている時は週明けとか次の日にセンター、お腹がすいている時は自宅のおやつボックスの事を伝えてもらうようにルール化し、なんとなく休日夜間等フォーマルな支援者が対応できない時に何かあれば情報共有できる体制が整いました。この事例は10年くらい前の事例なので、今ならご近所さんたちと地域ケア会議等を行うという方法もあるかもしれません。
【アセスメント(分析)共有の枠組み】
ここまでは主に「情報収集」について述べてきましたが、次は「分析」です。分析とは要は「何が問題で」「どうしていく必要があるのか?」と言うことを明確にすることです。普段の生活では「問題」「課題」を同義もしくは混在してつかっていると思いますが、分析するときは頭の中でいいので下記のように整理するとすっきりするかもです。
問題(改善すべき現状) | 目標(あるべき姿) | 具体的行動(誰がどのようにいつまでに) |
例)食費がなく、生活に必要な食事がとれていない | ①食事が確保される
②経済的に安定する |
①なぜ食費が確保されていないのか、情報収集をする
②年金が最低生活費を下回っているため生活保護の申請を行う ③医療職がDrに追加で栄養面や健康に問題ないか聞く |
どうしていくのかを決めるためには、
①問題=改善すべき現状と②目標=あるべき姿の差をどうやって埋めるのか?考える必要があります。方法論としては、情報が足りてなければ更に集める、足りない収入や支援を導入する、支援者同士で情報共有するなど色々あると思いますが、チームで考えると色んな意見が出てきていいのではないかと思います。
さっきのFさんにこれを当てはめると
問題(改善すべき現状) | 目標(あるべき姿) | 具体的行動(誰がどのようにいつまでに) |
休日夜間にFさんが困ったらパニックなって迷子になる。 | ①見守り体制がある
②見守りで発見された困ったを解決 |
②困った時の体制(ルール)を支援者が作る
①体制(ルール)をFさんの周囲に知ってもらって何かあれば連絡してもらう |
(参考)「問題」の考え方
最後にアセスメントとはつまり情報収集と分析であるという話をしてきましたが、情報収集した中から、一体何が問題か?ということを考えることが必要です。
ここでは「問題」の定義について示しました。
原則的には本人の解決能力→本人家族の人的資源、支援関係者の解決能力の双方を把握し「本人」にも「本人を取り巻く環境」にも対処ができないものが「問題」として解決すべきものと捉える必要があるでしょう。
最後に
相談援助職には様々な相談が寄せられます。相談者は家族の事もあるし、専門職(CMやサービス事業所)、市役所ということもあります。相談受付を行う上で、どのような相談であったも、上記の問題の概念はかなり重要です。その理由は援助者や第三者が「問題を解決すること」が、相談者やクライアントにとって不利益になる可能性があるためです。「自立支援にならない」「家族の関りを支援者が切ってしまう⇒家族の理解を醸成できず家族としての判断が必要なった時に支援者が困る」「地域とのかかわりをサービスが切ってしまう⇒本来あった見守りがないため在宅で暮らせなくなる」など色んなパターンがあるんじゃないかと思っています。
そうならない為に、必要な情報を集めたうえで適切に対処すべき問題を見極めて支援を展開していければいいなーと思っていますが、なかなかやるのは簡単じゃないですね。いまも、日々悩んでいます!
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