皆さん、こんにちは!
今回は、前回の続きです。
前回は、地域包括ケアの成り立ちから地域共生社会の概念が出てくるところまでを追ってみました。
今回は、地域共生社会の話が出てきてからの経緯についてまとめていきたいと思います。
地域共生社会は地域包括ケアの上位概念です
地域共生社会の実現が最初に示さたは、「ニッポン一億総活躍プラン」(2016、内閣)(以下、総活躍プラン)の中です。
「ニッポン一億総活躍プラン」とは、日本の経済成長の根本にある少子高齢化の問題に真正面から取り組むもので、日本経済の更なる好循環を形成するため、これまでの三本の矢の経済政策をいっそう強化するとともに、広い意味で経済政策として、子育て支援や社会保障の基盤を強化し、それが経済を強くする、そのような新たな経済社会システム作りに挑戦するもの
出典「一億総活躍プラン」(内閣府)
「地域共生社会の実現」のベースが作られた流れ
「地域づくりとしての医療・介護・福祉・子育て」(社会保障制度改革国民会議報告書.2013)
この報告書では、高度経済成長期に確立した「1970年モデル」の社会保障を超高齢化の進行、家族・地域の変容、非正規雇用労働者の増加などに対応した、全世代型の「21世紀(2025年)日本モデル」の制度へ改革することが喫緊の課題として指摘し、「地域づくりとしての医療・介護・福祉・子育て」を掲げています。
つまり「医療・介護・福祉・子育て」といった分野を「地域づくり」に連なるものとして位置付けたtということになりますね。
社会を保障を形作る「医療・介護・福祉・子育て」という福祉的要素は、これまでの介護等の社会化によって、社会システムとしての側面が強く考えられてきましたが、地域というフィールドの中で考えられるべきものだという考えに根差していると言えます!
簡単に言うと、介護が必要の人や障害があって支援が必要人の生活はもちろん社会が保障するのですが、施設等の一律の生活を押し付けるのではなく、その人が「住みたい地域、生活様式」を大切にしましょうよ!ということですね。
これには社会保障(制度施策)と地域の中で包摂されること(ソーシャルサポート)が必要です!
医療,介護,介護予防,住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制(医療介護総合促進法.2014)
上記した「社会保障制度改革国民会議報告書」の内容が、医療介護総合促進法のなかで地域の医療と介護の連携を強化、地域包括ケアシステムの法的定義がされます。
第2条
地域包括ケアシステムとは「地域の実情に応じて,高齢者が,可能な限り,住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう,医療,介護,介護予防,住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制」
「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」より抜粋
「地域包括ケアシステムの対象の拡大」(誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現-新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン.2015)
「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現-新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」は「新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチーム会議」の報告書です。
このなかの「2.様々なニーズに対応する新しい地域包括支援体制の構築」では、
地域包括ケアシステムの対象拡大と福祉領域そのもの拡大として「全世代型・全対象型地域包括支援」「高齢者の対応する地域包括ケアシステムや生活困窮者に対する言立支援制度といった包括的な支援システムを、制度ごとではなく地域というフィールド状に、これ医者や生活困窮者以外に広げる」「新しい連携の形は、福祉分野に止まるのではなく福祉以外の分野に拡大していかなければならない」
と述べられています。
これは、つまり高齢者分野で進められてきた地域包括ケアの対象を拡大するということですが、その意図としては、先ほど「地域の中での社会保障」が制度施策とソーシャルサポートの連動に支えられていくという考えの上で、施策制度自体も縦割りではなく地域というフィールドで横軸の連携を行うあるいは一体的に提供される必要があるということです。
簡単に言うと、すべての支援を必要とする人の「住みたい地域、生活様式」を大切にするためには、いろんなサポートが一体的に行われる必要がありますよ!ということですね。もちろん、このサポートの中には地域での包摂(排除しない)を基盤としたフォーマルインフォーマルな社会資源(有形、無形など問わず)が含まれると考えられます!
地域共生社会の成立要件について
このような流れの中で「地域共生社会」という概念が語られているということでした。ここから、地域共生社会っていうのはどんな社会を指すのか?ということを考えてみました。
地域共生社会では、どんな人でも「住みたい地域、生活様式」が実現できる(自己実現)ができることを目指す
「医療・介護・福祉・子育て」等の社会保障
地域の中で包摂されること(ソーシャルサポート)
「住みたい地域、生活様式」を大切にするためには、地域社会の中で包摂される必要があります。包摂とは、排除しないということですが、それだけはなく「役割を持つ」「社会に関わる(社会参加)」ということも含まれると考えます。
ここのところがよく言われる「支え手側と支えられる側の垣根を越えて」という部分ですね。
これには、このような博愛と言っていいのか、ノーマライゼーションと言っていいのかはわかりませんが、「老い、何かハンディある、困窮している、などなどの支援が必要という現状」は、その人の「自己責任ではない」という考えが当たり前になるということです。
例えば、老いや障害などは「自己責任ではない」と意識しやすいですが「離婚して困窮した」のは自己責任だと思いますか?犯罪を犯した人が適正に就労できず困窮するのは、どうでしょうか?
実は私にもわかりません。ケースバイケースと言ってしまうのは簡単ですが、実は根深い社会システムや社会通念が影響を及ぼしているということもめっちゃ思います。
もし、社会通念、社会システムが影響して、構造上「選択肢がなかった」のであれば、それはやはり「自己責任ではない」と判断するべきだと私は思います。
そして、この構造上の問題、特定の状況下での「自己責任」の考え方、サポートが必要な人の社会的役割などについて、考える福祉教育が広く展開さえる必要があると考えます
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