みなさん、こんにちは!
今回はシリーズ三回目で「包括的支援体制」についてです。その①、その②では「なぜ地域共生社会が実現されなければならかいのか?」ということについて、お話をしてきました。
今回は、地域共生社会の実現へ至る為の体制、すなわち包括的支援体制について説明をしていきたいと思います。この、包括的支援体制の構築を予算をつけて事業化したものが重層的支援体制整備事業となります。
国はこれを推進しようとしていますが、この包括的支援体制は各自治体の地域特性やこれまでの取り組みを生かすという、自治体ごとの創意工夫や全体のマネジメントが求められるものなので、基本的なビジョンを持って取り組みが行えていない自治体は苦戦していると思います。(もしくは、今ある体制でなんの問題があるのかさえわからないかも・・・・・)
そこで、今回は包括的支援体制について経緯と内容について押さえて今後の展開を考えるときの基礎について考えていきたいと思います。
これまでの記事はこちら
他にも色々書いてますのでよかったら見てください
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包括的支援体制は社会福祉法に位置付けられています。
そもそも、包括的支援体制とは?
また社会福祉法106条の3第1項では、
包括的支援体制の構築が事業化されたのが重層的体制整備事業です。
社会福祉法に規定された包括的支援体制に予算をつけて、具体的な仕組みとして作っていこうと事業化されたのが、重層的支援体制整備事業です
さらに社会福祉法106条の3第1項1号から3号では、以下の通りについて定めています。
この①~③が重層的支援体制整備事業において一体的に実施することになっている事業です。
③は、属性に関わらず、地域の様々な相談を受けとめ、自ら対応又はつなぐ機能としての断らない相談支援
②は社会とのつながりや参加を支援する機能として参加支援
①は場の調整やコーディネート機能も含めた地域づくりに向けた支援
これら①~③を一体的に行う事業全体の理念して以下があります。
- アウトリーチを含む早期の支援
- 本人・世帯を包括的に受け止め支える支援
- 本人を中心とし、本人の力を引き出す支援、信頼関係を基盤とした継続的な支援(伴走支援)
- 地域とのつながりや関係性づくりを行う支援
これらの意識をもって行ってくださいねということですね~
包括的支援体制の構築は地域性や市町村のこれまでの取り組みを生かしいて構築します。
国は市町村を主体としながら、体制に整備に関しては市町村のこれまでの取り組みや実情に合わせた対応など、市町村ごとにある地域特性や既存の体制に合わせたデザインの自由を許しているということを強調しています!
そのために、国は財政支援についても分野に囚われない総括的な対応を通知し、各分野横断的な対応を促進させるための案分についても提示を行っています。
つまり、市町村は各々の地域特性やこれまでの取り組み、既存の体制に合わせたオーダーメイドの包括的支援体制を構築することを求められていると言えるんですね。
ただ、まぁちゃんとデザインを考えて構想を市や関係機関等で話し合えることができるような市か、歩いて程度の意思をもった市長さんとかがトップダウンで構築できるような市でないと、「自由を許されている」ということが、逆に難しさにつながることが想像に難くありません!
最後に
いかがだったでしょうか?その①、その②、その③と続けて記事を書いていみて、なんとなく自分の中でも整理がついていないのですが、どうにも、この地域共生社会、包括的支援体制、重層的体制整備事業については市町村のこれまでの取り組みを生かしてデザインを自由に設計するということが難しく感じています。
以下は完全に私見ですが、この体制構築について課題となるものを羅列してみました。
オーダーメイドの体制整備を達成するためには下記の要素を含む取り組みが必要となると考えます。
前提となる条件
まずそもそも、「これまでの取り組みや地域特性を生かして」とあるので、現状の相談支援体制や地域づくりの取り組みについて評価を行う必要があります。これは、市だけではなく関係機関や社会福祉協議会なども含めて行われる必要があるでしょう!
断らない相談支援、アウトリーチについて
住民の身近な圏域や相談支援の包括的な受け止め等を構築するにあたっての住民参加等による住民ニーズの把握が必要です。なんとなく、専門職だけで考えていると偏る気がするので(‘ω’)ノ
また、断らない相談支援においてどのような体制を構築するにしても、一機関や特定のセクションに大きな負担がかからないなどの体制が必要です。これを考えておくと持続性が担保されます。体制構築をしたのちのメンテナンスの手間を考えると、このポイントは抑えるべきだと思います。
多機関協働について
包括的な相談の場やアウトリーチによって発見される複合した問題を持つ人あるいは世帯に対する庁内、相談機関間の連携を可能とする体制が必要です。重層的支援体制整備事業における多機関協働事業が「庁内連携が難しい」ということから出発したことを忘れるべきではありません。
参加支援について
「相談支援」と「地域づくり」の間に存在する参加支援は、なんだかよくわからないけども、要は福祉問題の背景には「孤立」があり、個別ケース対応における孤独に対応するのが参加支援だという理解です。
そのため、個別支援においてのソーシャルサポートネットワークの構築が肝になると考えます。このソーシャルサポートネットワークの構築を可能とするソーシャルワーカーあるいは部署を想定しておく必要があります。つまり、インフォーマルサポートをどのように把握するかという問題です。ここを市町村のなかでどう解決するか検討すべきです。
地域づくりについて
「相談支援」も「参加支援」も基本的には個別支援の枠組みの話でした。しかし、地域づくりは非常にあいまいです。
大橋先生の「コミュニティソーシャルワーク」や岩間先生の「地域を基盤としたソーシャルワーク」では、基本的には個別の生活課題を起点とし、それを普遍化した地域生活課題を住民の主体的な活動を喚起する住民組織化などコミュニティワークを駆使して解決するようなイメージですが、これだやはりなんとなくフォーマルサービスで解決できない問題に「住民を動員する」という感覚が否めません。
これに対して、これまで社会福祉協議会等で取り組まれてきた地域支援では、個別の生活課題は踏まえながらも、住民の興味関心や町を良くしたいという主体性やモチベーションの源泉を大事にしながら「住民自身がなりたい地域」へ至る為の支援を行うという実践となります。
ここのところの「個別の生活課題」とそれが普遍化された「地域生活課題」と「住民の興味関心から始まる地域づくり」をどう整理するかを考えていく必要があります。
ただし、この辺はちょっと地域福祉関係の研究者の中でも整理がついていない気がします。(私が浅学なだけなような気がしますが‥‥)
ただ、個人的には参加支援のところで、大事ですよと書いた「ソーシャルサポートネットワーク」の構築がカギを握っている気がしています。
こんな感じの課題が市町村における包括的支援体制を構築するための条件整備となると私は考えます。
次回は、ちょっと上に書いたコミュニティソーシャルワークや地域を基盤としたソーシャルワークについて深めていきたいと思います!!
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