皆さん、こんにちは!
今回ご紹介する本は↑です!
活字が苦手な僕でもマンガで読みやすかったです。マンガでわかるシリーズは愛読書になっています(笑)
介護業界に限らないですが、皆さんの周りには、ふしぎとクレーマーや困難な事例(仕事)でも、軽々と対応し解決していく魔法使いみたいな人ががいたりしませんか?
今回は魔法使いの様にすぱすぱと解決していく「仕事できる人」略して、シゴデキになる方法を考えたいと思います!
今回ご紹介する本はこちら!
シゴデキの秘訣はロジカルシンキング
私自身はシゴデキではないのですが、私の周りの仕事ができる人をよく良く観察すると、皆さん「ロジカルシンキング」が身についていると感じます。
そのため、シゴデキの秘訣は「ロジカルシンキング」にあるのではないかと思います。
ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングとは、根拠に基づいて筋道を立てて考え、矛盾なく結論を導き出す思考方法のことです。日本語では「論理的思考」と呼ばれます。
単に知識を持っているだけでなく、情報を整理・分析し、客観的な事実に基づいて判断を下すために重要なスキルです。
ロジカルシンキング三つの特徴
ロジカルシンキングには、一般的に以下の3つの特徴があると言われています。
結論は根拠に基づいている
どんなに良い主張でも、客観的な根拠がなければ説得力は生まれません。事実情報を収集し、結論を支える必要があります。
結論までの展開に繋がり(ストーリー)がある
根拠と結論が脈絡なく提示されても、それは論理的な主張とは言えません。主張を支える根拠が、正しい推論形式で繋がっている必要があります。特に、前提となる情報は相手によって理解度が異なるため、論理の飛躍がないように丁寧に説明することが重要です。
結論が明確かつ目的に沿っている
論理的に主張を展開しても、それが議論の目的や全体のテーマからずれていては意味がありません。ロジカルシンキングを用いる際は、まず目的を明確にすることが大切です。
ロジカルシンキングのメリット
ロジカルシンキングを身につけることには、以下のようなメリットがあります。
相手に分かりやすく、筋道を立てて伝えることができる
情報を整理し、論理的に構成することで、相手にスムーズに内容を理解してもらえます。
客観的で説得力のある主張ができる
根拠に基づいた主張は、主観的な意見よりも信頼性が高く、相手を納得させやすくなります。
相手の主張の妥当性を検証できる
論理的な視点を持つことで、相手の意見や主張の根拠や論理展開の矛盾点を見抜くことができます。
問題解決能力の向上
物事を構造的に捉え、原因と結果を分析することで、効果的な解決策を見つけ出すことができます。
意思決定の質の向上
客観的な情報に基づいて判断を下すことができるため、より適切な意思決定に繋がります。
ソーシャルワーカーこそロジカルシンキング
ここまで読むと
「ん?ロジカルシンキングって、なんかビジネスの世界の言葉じゃないの?」
そう思われた方もいるかもしれません。確かに、ロジカルシンキングは企業の戦略立案や問題解決の手法として広く知られています。しかし、実はソーシャルワークにおいても、その考え方は支援の質を格段に向上させるための強力な武器になると私は考えています。
なぜなら、ソーシャルワークの現場は、複雑な課題が山積しているからです。
- 多様な価値観を持つ利用者さん
- 絡み合う家族関係や社会資源
- 制度の制約や倫理的なジレンマ
これらの要素が複雑に絡み合い、一つの正解がない状況で、私たちは日々、利用者さんにとって最善の支援を目指して奔走しています。
そんな状況だからこそ、感情論や経験則だけでは立ち行かない場面に直面するのではないでしょうか。
ソーシャルワークにおける「なぜ?」を深める力
ロジカルシンキングの基本は、「なぜ?」を繰り返し問い、根拠に基づいて結論を導き出すことです。
例えば、
- 「なぜ、この利用者さんは支援を必要としているのか?」
- 「なぜ、この支援方法は有効だと考えられるのか?」
- 「なぜ、他の選択肢ではなくこの方法を選ぶべきなのか?」
これらの「なぜ?」を深掘りすることで、表面的に見えている課題の奥にある本質的な原因に迫ることができます。
事例:引きこもりの若者への支援
経験豊富なワーカーであれば、「まずは訪問して話を聞こう」と考えるかもしれません。もちろん、それは重要な第一歩です。しかし、ロジカルシンキングの視点を持つならば、その前に、
- 引きこもりの背景にある可能性(いじめ、就職失敗、精神疾患、家族関係の不和など)をMECEに整理する
- それぞれの可能性に対する情報収集の方法を検討する
- 過去の類似事例の成功・失敗要因を分析する
といったプロセスを踏むことで、より個別化された、根拠に基づいた支援計画を立てることができるはずです。
支援の「繋がり」を明確にする力
ロジカルシンキングは、結論に至るまでの道筋、つまり「論理の繋がり」を重視します。
ソーシャルワークにおいては、
- アセスメントで得られた情報と、支援目標がどのように関連しているのか
- 選択した支援方法が、なぜその目標達成に繋がると考えられるのか
- 複数の支援方法を組み合わせる場合、それぞれの方法がどのように相互作用するのか
といった繋がりを明確にすることで、利用者さんにとって納得感があり、効果的な支援を提供することができます。
事例:高齢者の在宅生活支援
「独居で生活に不安があるため、週3回の訪問介護を導入する」という計画だけでは、繋がりが曖昧です。
- なぜ週3回の訪問が必要なのか(具体的な生活上の困難さは?)
- 訪問介護によって、どのような目標(家事援助、服薬管理、社会参加の促進など)を達成するのか
- 他の社会資源(配食サービス、見守りシステムなど)との連携はどのように考えるのか
これらの繋がりを明確にすることで、多角的な視点からの、より質の高い支援計画へと昇華させることができます。
チーム内での「共通理解」を促進する力
ソーシャルワークは、多職種連携が不可欠な仕事です。医師、看護師、ケアマネージャー、教育関係者など、様々な専門性を持つ人たちと協働していく必要があります。
ロジカルシンキングに基づいた明確な根拠と論理的な説明は、それぞれの専門性を持つ人々との円滑なコミュニケーションと共通理解を促進します。
「〇〇というアセスメント結果に基づき、△△という目標を設定しました。その目標達成のため、□□という支援方法を選択しました。なぜなら…」
このように、論理的に説明することで、関係者は支援の意図や根拠を理解しやすくなり、より建設的な議論や連携に繋がるでしょう。
ロジカルシンキングを身につけるために
では、具体的にどうすればソーシャルワーカーがロジカルシンキングを身につけることができるのでしょうか?
意識的に「なぜ?」を繰り返す
日々の業務の中で、自分の判断や行動に対して「なぜそうするのか?」を問い続ける習慣をつける。
例えば、ゴミ屋敷問題などをはらむセルフネグレクトケースでは「ほっておいてくれ」と支援を拒否れる事例が多いです。この、どうして支援を拒否するのだろう?というモヤモヤはなかなか頭の中で考えていても解決しません。
そんな時は、書き出ししてみましょう!
〇本人は「片づけを望んでない」から
〇伝え方が悪くて、怒らせてしまった
〇大勢で訪問したため圧迫感があった、びっくりさせてしまった
〇信頼関係がまだできていないから
〇本人にとってはゴミじゃないから
〇望んでいないわけではないが、信頼されていない
〇騙されるとおもって軽快している
記録を構造的に書く
支援記録を、事実、解釈、計画、評価といった構造で記述する練習をする。
記録をつけるときに「見出し」をつけるだけでも訓練になるでしょう!
フレームワークを学ぶ
MECEやロジックツリーなどの基本的なフレームワークを理解し、日々の業務で意識的に活用してみる。
ソーシャルワークの現場で役立つフレームワークは多岐にわたりますが、ここでは代表的で汎用性の高いものをいくつかご紹介します。それぞれのフレームワークは、利用者理解、アセスメント、支援計画、多職種連携など、ソーシャルワークの様々な場面で活用できます。
1. アセスメントに役立つフレームワーク
生態学的視点(エコロジカル・パースペクティブ)
- 個人を取り巻く環境(家族、友人、地域、制度など)との相互作用に着目し、問題の全体像を把握します。
- 活用場面: 利用者の問題を、個人内だけでなく、環境との関係性の中で理解しようとする際に役立ちます。
- 例: 引きこもりの若者の問題を、本人の心理的な要因だけでなく、家族関係、学校・職場の状況、地域社会との繋がりなど、多角的な視点から捉える。
ストレングス視点:
- 利用者の問題や困難に焦点を当てるのではなく、潜在的な能力、資源、強みに着目し、それを活用した支援を目指します。
- 活用場面: 利用者の主体性を引き出し、自己解決能力を高めるための支援計画を立てる際に役立ちます。
- 例: 依存症のある利用者に対して、過去に困難を乗り越えた経験や、周囲のサポート資源を見つけ出し、回復への意欲を引き出す。
ライフサイクル視点:
- 人の発達段階やライフイベント(出生、成長、結婚、出産、老い、死など)が、抱える課題にどのように影響しているかを理解します。
- 活用場面: 各ライフステージ特有の課題やニーズを把握し、適切な支援を提供するために役立ちます。
- 例: 高齢者の孤立の問題を、退職や配偶者との死別といったライフイベントとの関連で捉え、必要な社会参加の機会やサポート体制を検討する。
ソーシャルワーク価値と倫理:
- ソーシャルワーク専門職としての倫理原則や価値観(自己決定の尊重、秘密保持、社会正義など)に照らし、支援の方向性を検討します。
- 活用場面: 倫理的なジレンマに直面した際や、支援の過程で利用者の権利擁護を考慮する際に役立ちます。
- 例: 利用者の意向と専門職の判断が異なる場合に、倫理原則に基づき、利用者にとって最善の選択を支援する方法を検討する。
2. 支援計画に役立つフレームワーク
目標設定理論(SMARTゴール):
- 具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性がある(Relevant)、時間制約がある(Time-bound)目標を設定することで、効果的な支援計画を立てます。
- 活用場面: 利用者と共に具体的な支援目標を設定し、進捗状況を評価するために役立ちます。
- 例: 「3ヶ月後に、週に1回近所の общественный центрに参加する」といった、具体的で測定可能な目標を設定する。
問題解決モデル:
- 問題を明確化し、目標を設定し、解決策を探索・評価し、実行・評価するという段階的なプロセスで支援を進めます。
- 活用場面: 利用者が抱える問題を構造的に捉え、解決に向けて段階的に支援する際に役立ちます。
- 例: 多重債務問題を抱える利用者に対して、現状分析から始まり、返済計画の作成、実行支援、効果評価といった段階を踏んで支援する。
3. 多職種連携に役立つフレームワーク
- ICF(国際生活機能分類):
- 人の生活機能を「心身機能・構造」「活動」「参加」の3つの次元と、それらに影響を与える「環境因子」「個人因子」から捉え、共通言語として多職種間の情報共有や連携を促進します。
- 活用場面: 医療、介護、教育など、異なる専門職間で利用者の状況を総合的に理解し、連携した支援計画を立てる際に役立ちます。
- 例: 脳卒中後の利用者の在宅復帰支援において、医師、理学療法士、ケアマネージャー、ソーシャルワーカーなどが、ICFの視点に基づいて情報を共有し、それぞれの専門性を活かした支援計画を立てる。
4. 組織運営・チームワークに役立つフレームワーク
- PDCAサイクル:
- 計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクルを回すことで、継続的な業務改善やチームの成長を目指します。
- 活用場面: チームや組織の目標達成に向けた活動を効率的に進め、改善していくために役立ちます。
- 例: チームでの事例検討会の進め方について、計画を立て、実施し、効果を評価し、改善策を検討する。
これらのフレームワークは、あくまで思考の枠組みであり、状況に応じて柔軟に活用することが重要です。また、一つの事例に対して複数のフレームワークを組み合わせることで、より深く多角的な理解と支援に繋がることもあります。
ご自身の担当事例や関心のある分野に合わせて、これらのフレームワークを学び、実践に取り入れてみてください。きっと、ソーシャルワークの現場で新たな視点や気づきが得られるはずです。
研修や勉強会に参加する
ロジカルシンキングに関する研修や勉強会に参加し、体系的に学ぶ機会を持つ。
福祉関係の研修では中々ロジカルシンキングの研修はありませんが、ファシリテーション、コーチングなど概念的に近い研修なども有効だと思います。
同僚との議論を大切にする
自分の考えを積極的に発信し、同僚からのフィードバックを受けながら、議論を深める。
利用者さんへの対応など同僚と意見交換することも。ロジカルシンキングのトレーニングになります。ロジカルシンキングというと「論理的思考」と訳されて難しく感じますが、要は「相手にわかりやすく伝える」ってことになります。
ロジカルシンキングはソーシャルワークの進化を加速させる
ロジカルシンキングは、決して冷たい思考法ではありません。むしろ、利用者さんの状況を深く理解し、真に寄り添うために不可欠な、温かい思考法だと私は考えます。
根拠に基づいた客観的な視点と、筋道を立てて考える力を持つことで、私たちはより質の高い支援を提供し、利用者さんのエンパワメントに貢献できるはずです。
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