【個別課題から】地域福祉⑤【地域課題へ】

地域福祉

みなさん、こんにちは!

かなり更新が開いていますが、今回で地域福祉第5弾です。一体誰が見ているのだろうと思いながら、自分の整理にために作っています。

今回は、地域包括ケアなどを語るときに必ず出てくる「個別課題から地域課題へ」という課題の展開、流れがあります。これっていったい具体的にはなんなの?どうやってするの?って思いませんか?

また、実際にコミュニティが作られる支援とどう関係あるのか?

このあたりをコミュニティソーシャルワークついて私なりに整理して考えてみたいと思います。

ちなみに、これ以降で書いているのはあくまで私の考えですので、鵜呑みにしたり、正確な情報であると捉えるのは避けてください。私の考えですので異論や反論は大歓迎です!

「個別課題から地域課題へ」はコミュニティソーシャルワークの概念から来ています。

まず「個別課題から地域課題へ」という考え方は、個別支援(ケースワークやケアマネジメント)と地域福祉の基盤づくり(コミュニティワーク)の両方を統合的に展開するコミュニティソーシャルワークのなかの一つの段階となります。

コミュニティソーシャルワークは地域包括ケアの根本となる理論です。

大橋謙策さんは,コミュニティソーシャルワークの機能を

  1. ニーズキャッチ機能
  2. 個別支援・家族全体への支援機能,
  3. ICFの視点を踏まえたケアマネジメントを手段としたコミュニティソーシャルワークの展開及び個別ネットワーク会議の開催,
  4. ストレングス・アプローチ,エンパワメント・アプローチによる継続的なソーシャルワーク実践の機能,
  5. インフォーマルケアの開発とその組織化機能,
  6. 個別支援に必要なソーシャルサポート・ネットワークの組織化と個別事例ごとのネットワーキング機能,
  7. サービスを利用している人々の組織化とピアサポート活動の促進機能,
  8. 個別問題に代表される地域問題の再発予防及び解決策のシステム作り機能,
  9. 市町村の地域福祉実践に関するアドミニストレーション機能,
  10. 市町村における地域福祉計画づくり機能

と,述べています。

これらの機能が一つの事例に必要な場合もあれば,必ずしも必要ではない場合もあるし、,その機能全てを一人のソーシャルワーカーが担う場合もあれば,チームとしてその機能全体を展開する場合もあると述べており,市町村においてコミュニティソーシャルワークを展開できるシステムが構築されていることが重要であるとしています!

大橋謙策(2005)「コミュニティソーシャルワークの機能と必要性」『地域福祉研究』(33) ,4-15より引用

つまり、一人の支援、一人の人の支援に必要なインフォーマルサポート、そのサポートを地域での必要性に応じて開発する一連の流れがコミュニティソーシャルワークであるということになります。

こうやって書くと、高齢者分野の方は「地域包括ケア」「地域ケア会議」の機能が頭がよぎるのではないでしょうか?

このコミュニティソーシャルワークを高齢者分野で具体化したのが、「地域包括ケア」そして「地域ケア会議」ということになるというこですね!

「個別課題から地域課題」の展開は、「他に人にも共通するかも?」の精神です

「個別課題から地域課題」の展開は、前述したコミュニティソーシャルワークのプロセスに照らし合わせると「8.個別問題に代表される地域問題の再発予防及び解決策のシステム作り機能」に当てはまるのだと思います。

ここに、「個別問題に代表される」とありますので、もともとその地域になにかが「ない」とか「つながっていない」などの問題があって、問題が影響して、たまたま専門職が関わった個別ケースの中で見つかったという考え方になります。

これを専門職側から見ると、「自分が今関わっているケースの○○な問題は、もしかしたらその人が住む地域で何らか地域に○○がないとか、制度とかの仕組みがないんじゃないだろうか?」と常に頭の隅に置いておく必要があるということになります。

また、「他に人にも共通する問題かも?」に気づけたとしても、次はこれをどのように確証や確信を得ていくのでしょうか?

これが、難しいし、膨大な作業量になりそうで尻込みするというか、地域包括ケアシステムの構築や地域ケア会議が上手くいっていない場合の原因になっている気もします。これについては、今回の記事の最後でもうちょっと詳しく考えてみます。

コミュニティソーシャルワークのポイントは住民主体と個別支援と地域福祉の基盤づくりの統合的展開です。

もうちょっと、コミュニティソーシャルワークを詳しく見ていきましょう!

住民主体が大事です

住民が自ら進んで問題解決に取り組むために、地域社会の社会資源を整備し、住民の地域福祉への関心を高める活動です。

決して、専門職や行政がノータッチであることが住民主体ではありません。主体的に活動ができる基盤づくりに専門職や行政の役割があります。

個別支援と地域福祉の基盤づくりの統合的展開

専門職は地域社会の問題を見つけ、関係機関と連携するアプローチを取ります。

コミュニティソーシャルワークは、個別支援(ケースワークやケアマネジメント)と地域福祉の基盤づくり(コミュニティワーク)の両方を統合的に展開します。

ただし、この対応を一人の専門職が行うのではなく、複数機関で一連のプロセスが続くように連携を行う必要があります。

個別支援と地域支援を統合する接点は、インフォーマルサポートとの協働です

専門職は個別支援を展開するときに、地域の課題や問題を念頭に置き、クライエントに合わせた支援を地域と結びつけて展開します。既存の制度とインフォーマルサポートが協働して個別支援を展開する視点が重要です。

以下では、個別支援と地域支援の接点に必要な要素を書いてみます

個別化と脱個別化の統合

    • 個別支援(個別アセスメント)と地域支援(地域アセスメント)を統合的に行うにあたっては、クライエントの住む地域の資源の豊かさや力などのストレングス視点を持ちながら、クライエントのニーズに対応する必要があります。
    • また、クライエントの持つニーズは常に地域の中で他の人にも共通する可能性があり、このニーズを住民と共有し協働することで、問題の再発を防ぐ、予防することが重要です。

専門職と非専門職の統合によるチームアプローチ

      • クライエント、専門職、地域住民が一緒に問題解決に取り組むパートナーシップが求められます。
      • 問題解決を協働することで、クライエントの自身のエンパワメントはもちろん、問題を解決したという成功体験が地域の福祉力を向上させます。
      • このような、クライエントのエンパワメント、地域の福祉力の向上を専門職は陰に日向に支えることが重要です

予防的なアプローチの重視

上記した、専門職と地域住民などが行うインフォーマルなサポートともに個別ケースを支援し成功体験を得ることによって、地域の福祉力や地域住民の興味関心と専門職が持つ課題をすり合わせ、地域の中で問題が再発しない予防的な対応を目指すことができていきます。

個別から地域課題への展開は、地域づくり系と施策形成系の二つに分かれる?

さて、これまでのところで「個別課題が他の人にも共通するものかも」というところから、「地域課題のタネ」となるものが抽出されることはなんとなく私もそんな気がしてきました。

あくまで、確定した地域課題ではなくタネが抽出されるので、このタネは育てていく必要があります。この育てるという行為が、前述した膨大な作業になりそうな調査や裏付けであるということになります。

ただ、このタネは「個別問題に代表される地域問題の再発予防及び解決策のシステム」に繋がっていくものだと考えると、一つは「地域で問題が再発しないように予防する取り組み」すなわち「地域づくり系」の方向と、もう一つは「予防が促進されるような施策」すなわち「施策形成系」の方向の二つに分かれるのだと考えています。

このあたりをしっかり分けて考えて、地域づくり系は例えば社会福祉協議会や生活支援コーディネーターと共有する道筋があったり、施策形成系は何らかのルートや調査など実証を行うプロセスを経て市が策定する福祉計画等の反映される道筋があるなどの市町村ごとに様相が違う中で道筋がキレイに通るようにデザインされることが重要だと思います。

結論としては、「個別課題から地域課題」への展開はあくまでタネなので起点として捉える

地域づくり系に行くとしても、政策形成系に行くとしても、どちらにしても、我々専門職の側から見ると個別課題は「タネ」かもしれないと思いながら対応し、花を咲かせるための調査や裏付けが行える仕組み、何らかの手段、あるいはルートを整備することが大事だと思います。

この何らかの手段、あるいはルートが整備されているかされていないかは、市町村によって全然違うと思います。

これを作る立場ですという方は、よかったら私と一緒に悩みましょう!

また、我々専門職が見出す「地域づくり系の地域課題のタネ」は、地域住民が行う福祉活動等一緒に、一人の人を支える視点もって協働していくことで住民と共有されます!このような体験が積み上げられてくると、本当にその地域に住む人の生活感覚や想いも含めての「真の地域課題」が見いだされるのではないかと思います!

最後に

いかがだったでしょうか?

今回は、「個別課題から地域課題」というなんとなくいろんな研修や説明会で聞くことを、私なりに何とか整理をつけてみようと思い立ち、色々と書いてみました。

上で結論として書いていますが、個別事例における生活課題はあくまで起点として捉え、行く先としては「地域づくり系」「政策形成系」の二通りになると思っています。そのどちらかに分かれた後に、課題が精査され、調査などによって実証されるプロセスが必要だろうという感じになりました。

この辺のルートやプロセスをなければ作る必要がありますし、あるのかないのか今の現状をもしかしたらちゃんと評価する必要があるのかもしれないなーと思いました。

今回は、ほんとに備忘録となってしまいましたが、次回は特に「地域づくり系」のお話を深めていきたいと思います!

コメントや感想などお待ちしております!

 

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