【事例】若年性認知症の方の支援【何が大事?】

事例

皆さんこんにちは!

突然ですが、私は高齢者福祉分野での支援を行うことが多い人です。

しかし、ご相談の中には高齢者であっても障害をお持ちだったり、特定疾患によって65歳以下で介護保険をお使いになる方など、様々なケースが見られます。

今更いうまでもないですが、全てのケースにおいてクライエントに施策制度を当てはめるのではなく、その人のライフステージに適合した支援を提供する必要があります。

ライフステージでの支援という観点で見た時に、私なら高齢というライフステージでは、これまでの経験や知識が役立つのですが、例えば若年性認知症の方の支援では、このライフステージという観点を強力に意識していないとニーズに対応できない、もしくはそもそもニーズがあることに気づけないこともあります。

今日は、このようにニーズを見逃してしまった苦い思い出のあるの「若年性認知症の方の支援」を事例としてご紹介して、ライフステージに合った支援をあらためて考えてみたいと思います。

若年性認知症の方は診断に時間がかかる?

若年性認知症とは、簡単に言うと65歳以下で発症する認知症のことです。全国の若年性認知症の方の人数は、およそ35700人であると言われています。人口10万人あたりの有病率は50.9人と推測されており、やや、男性に多い傾向があります。人口三十万人の市では、約150人くらいの方が若年性認知症を発症していると推察できますね!

若年性認知症は、物忘れが出たり、仕事や生活に支障をきたすようになっても、年齢の若さから認知症を疑わなかったり、病院で診察を受けても、うつ病や更年期障害などと間違われることもあり、診断までに時間がかかってしまうケースが散見されます

若年性認知症の場合、認知機能の低下や生活の支障がそのまま「ミス」「無気力」と誤解されがちであり、それが認知症のせいとは思い至りにくいのです。

また、うつ病や更年期障害などの他の疾病との区分けは専門医でも見わけがつきにくく、医療機関を受診しても、正確な診断がつくまでに時間を要する傾向があります。

例えば、45歳で就労し妻や子どもがいる男性が若年性認知症を発症した場合

この場合は、就労している男性であるため最優先で所得補償を考える必要があります。

所得補償が最優先

下記では、収入に関する制度をタイミング順にご紹介します。

※からなず、すべての人が給付を受けれるわけではありませんので個別の事情を勘案して対応が必要です!

傷病手当金 (タイミング:退職前)

利用できる制度としては「傷病手当金」が考えられます。

「全国健康保険協会(協会けんぽ)」または「健康保険組合」に加入している会社や事業所に務めている場合は、病気や業務外の怪我等で休業しなければならない場合に、その間の生活の保障を行うことを目的として設けられている制度が「傷病手当金」です。

三日以上休んだ場合、4日目から支給されることになります。

精神保健福祉手帳の申請 (タイミング:初診から半年後)

次に精神障害者保健福祉手帳の申請が考えられます。認知症と診断された場合は、初診日から6カ月程度経過すれば精神障害者保健福祉手帳を申請が可能となります。

血管性認知症などで一定以上の身体的障害(麻痺など)があり、障害が永続すると考えられる場合は身体障害者手帳を申請が可能です。

精神保健福祉手帳があると税制上で減額免除等を受けられる可能性があります。

雇用保険の失業給付を受ける (タイミング:傷病手当が終わったら、最長18カ月)

三つ目に雇用保険で失業給付を受けることが想定できます。

申請時期としては退職後、傷病手当金が貰えなくなる時期である。傷病手当金は受給開始から最長18カ月間支給されるため、傷病手当金の支給期間が終わる前に失業給付を受けることを検討する必要があります。

ハローワークにいって相談しましょう!

障害年金 (タイミング:失業給付が終わる3~4か月前)

最後に障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金)の申請が考えられます。

障害年金は、病気やケガで仕事を続けることが困難になった人やその家族の生活を支えるための公的年金です。

公的年金の受給資格があり障害者となった場合に申請が可能となる。障害年金の審査結果が届くまでは約3~4ヶ月かかり、結果が届いてから受給までも約1ヶ月半程度の期間が必要です。

申請からすぐに支給されるわけではないことに注意が必要です。

所得補償における注意点!

もう一つ全体を通じての注意点は、初診日が雇用中に無いと傷病手当金等の申請が難しい場合があることです。

また、障害厚生年金は、厚生年金保険の被保険者加入期間中に、障害の原因となった病気やけがの初診日がある方が対象となるため、同様に雇用中に初診日があることがポイントとなります。

若年性認知症の場合、就労等で家族全体の生活費を支えている人が突然給与等の収入を失う可能性がある。そのため疾患あることが分かった時点ですぐに退職を考えず、会社と相談し生活費等の確保を各種の制度を組み合わせて行っていくことが重要です。

また、このような制度を組み合わせて収入を確保したとしても、最低生活費を下回る可能性がある。医療介護等の費用負担も高くなることも考えられるため生活保護の申請についても検討しておきましょう。

医療や介護等の制度を使いましょう!

認知症の方を介護される家族介護者の困りごとや負担感は、要介護者の認知症の状況や家族介護者自身の要介護者との同居の状況、要介護者の同居家族の有無によりかなり異なってきます。

また、認知症の進行具合は人によってもそれぞれ異なり、現在の医学では進行を遅らせることはできても完治できるものではないことが、「先の見通しが立たない」という状況が介護するご家族の不安感、絶望感に繋がります。

実際に認知症の方と一緒に生活しサポートするということは、徐々に症状が進み、意思疎通が難しくなるなど、コミュニケーション一つにも困難さも増すことになります。

さらに、症状が進む中で意思疎通の問題に加え、徘徊や妄想、幻覚などの周辺症状が現れることで、理解や対処に関わる心身の負担は想像を絶するものがあるでしょう。

こうした負担を抱えつつ、なんのサポートも受けずに認知症介護を在宅で続けることは、家族介護者にとって社会との接点の縮小や喪失につながっており、悲劇の引き金になっていると言っても過言ではありません。

このように、特に認知症の方を介護するということは通常の介護以上に介護家族への負担が計り知れないほど大きくなるという特性があります。

このあたりに対処するためには、認知症という疾患自体の理解や介護家族の休養、心の平穏の確保等、医療や介護の専門職、制度施策などを最大限活用する必要があります。

とにもかくにも受診しましょう!

冒頭でご紹介したとおり、若年性認知症の診断には時間がかかる場合があります。まずは、主治医に相談するのがいいですが、若い方では主治医がいないかもですので、受診するかどうか、受診先に迷ったときはお住いの市町村での相談窓口を探してみるものいいかもしれません。

たいていの市町村に認知症に関する相談窓口や健康、介護に関する相談窓口などが設置されています。

また、認知症かな?と迷ったときには、いろんなホームページで症状に関するチェックリストなどが掲載されていますので活用していただけると良いと思います。

国や県が発行している症状等受診の目安となるチェックリストも存在しています

認知症ケアパスなど(名称が市町村等によって違いますが)冊子が公的機関から配布されていることも多いですので、一度市役所などでチェックしてみるものいいでしょう!

すぐには使わないかもですが、介護保険の申請をしておきましょう

事例では男性は45歳であるため、介護保険の第二号被保険者であり介護申請を行い介護サービスの利用ができる可能性があります。

若年性認知症が発症した場合は、介護保険料を納めている40〜64歳の「第2号被保険者」かつ、認知症などの特定疾病を抱えている方に限り、介護保険サービスを利用できます。

ただし、多くの介護保険サービスは「高齢者向け」に展開されていることもあり、若年性認知症にとっては適合が難しいことが想定されます。

しかし、若年性認知症を抱えている人向けのデイサービス等も存在している場合があり、詳しくは各市町村に設置されている地域包括支援センター等へ相談ができます。

認知症カフェ、認知症家族会など実際の体験等を聞ける場もあります

認知症カフェは、認知症の方とその家族が気軽に立ち寄れる場所として身近な地域で整備されている可能性があります。全国一律で行政が主体になって取り組みをしているわけでありませんが、福祉法人、医療機関、地域住民等ボランティアなど様々な主体が運営開催しており、認知症ケアが家族負担が高いことから全国に徐々に広まっています。

運営主体や場所によって様々ですが、利用者を限定していない場合も多く、認知症の方と介護者である家族はもちろん、地域の住民や介護・医療に携わる方など、大人から子どもまで誰でも参加できることもあります。

また、認知症の診断を受けていなくても「認知症かも?」と違和感を覚えた方もさんかできる場所であったりもします。

認知症カフェにぜひ参加してほしいなと思うのは、「認知症の当事者の方同士の交流がしたい方」、「介護や医療など実際のケアについての情報交換がしたい方」、「その地域にお住いの方で認知症について知りたい方」などです。

認知症カフェを通じて当事者、そのご家族、地域住民の方が顔見知りになることで、本人や介護者の孤立を防げるのではないかと考えたりもします。

家族会はその名の通り家族会です。こちらも、様々な主体が運営しています。

認知症カフェも家族会もたいてい行政が把握している場合が多いので、問い合わせてみると良いかもしれません。

最後に

いかがだったでしょうか?

事例は私が経験した事例を全くそのままではありませんが参考にして、望ましい対応として記事を書いてみました。

実はこの中で私が実際に対応や案内できたのは介護申請を行ったことくらいです。しかも、記事でも書きましたが介護サービスの利用はあまりニーズに合致せず、使えませんでした。

後で振り返ってみると、支援の中核であったのは「収入をどう確保するか?」という点であったと考えられます。

また、ポイントで記載した通り初診日が重要なのですが、この初診日が自己都合で会社を退職され保険等も脱退した後、数年後になってしまったことも制度利用に大きく影響したと言えます。

今回は、このような後悔と自省を込めて記事にしました。

最後までご覧いただきありがとうございます。

質問等ございましたらコメントなどでいただけると助かります!

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