今回紹介する本はこちら
皆さんこんにちは!
今回は読んでみた第2弾で「イシューからはじめよ」を読んでみました。これを、福祉に関連させて感想を書いてみようと思います。
前回の記事「金持ち父さん~」ではマーケティングの知識が福祉にも必要なんじゃないかという観点から本を選んでみましが、今回は福祉やソーシャルワークもも仕事として進めるうえでビジネス的な視点は共通してて、「何か物事を進める、あるいは解決する」という部分では、考え方自体がヒントにならないかなーとおもってこの本を選んでみました。
この本を選んだ理由
福祉やソーシャルワークもも仕事として進めるうえでビジネス的な視点は共通してて、「何か物事を進める、あるいは解決する」という考え方にはヒントがあるのはないかと思いました。
イシューとは?
イシュー とは、ビジネスシーンでよく使われる言葉で、日本語に直訳すると「論点」「課題」「問題」といった意味合いを持ちます。しかし、単なる問題ではなく、解決することで大きな変化や成長が期待できる、より本質的な問題 を指すことが多いです。
イシューのポイント
- 解決すべき問題の核心部分: 表面の現象ではなく、その問題がなぜ起こっているのか、根本的な原因を探るための出発点となります。
- 優先順位が高い問題: 多数の問題の中から、特に重要で、今すぐに解決すべき問題がイシューです。
- 具体的な行動を促す: イシューを明確にすることで、具体的な解決策を検討し、行動に移すことができます。
- 意思決定の基盤: イシューを共有することで、組織全体で共通の目標に向かって取り組むことができます。
イシューを特定するメリット
- 目標設定: イシューを特定することで、具体的な目標を設定し、達成に向けて取り組むことができます。
- 効率化: 不要な議論を避け、効率的に問題解決を進めることができます。
- 組織全体の共通認識: イシューを共有することで、組織全体で共通の目標に向かって取り組むことができます。
- 創造性を刺激: イシューを解決するために、新しいアイデアや視点が生まれやすくなります。
イシューを特定する方法
- 現状分析: 現在の状況を客観的に分析し、問題点を洗い出します。
- 原因分析: 問題の原因を深く掘り下げ、根本的な原因を特定します。
- 影響範囲の特定: 問題がどのような範囲に影響を与えているのかを把握します。
- 優先順位付け: 複数の問題の中から、最も重要な問題を特定します。
- 問いを立てる: 問題を解決するために、どのような問いを立てれば良いのかを明確にします。
イシューの例
- 企業の場合:
- 新規顧客の獲得が難しい
- 売上が伸び悩んでいる
- 競合との差別化が難しい
- 社会問題の場合:
- 環境問題
- 少子高齢化
- 格差問題
イシューを特定する際の注意点
- 主観ではなく客観的な視点で: 感情的な判断ではなく、データに基づいて判断することが重要です。
- 抽象的な言葉ではなく具体的な言葉で: 誰でも理解できるような具体的な言葉で表現することが重要です。
- 複数の視点から検討する: 異なる立場の人々の意見を聞き、多角的な視点から問題を捉えることが重要です。
福祉、ソーシャルワークとイシューの関係
このように、イシューとは問題(変えるべき現状)の本質を言及するということになり、これはソーシャルワークではアセスメントによる問題の分析にも通じる働きです。というよりも、イシューを特定する流れがそのままアセスメントと言い換えてもいいのではないでしょうか?それくらい、共通点があります。
ご紹介(ちょっとでもネタバレがダメな方は飛ばしてください)
本書は、コンサルティングにおける「イシュー・ドリブン」など、仕事の進め方を中心に、非常に深い洞察を提供していると感じました。
本書の主な論点
- イシュー・ドリブン: 問題の本質を捉え、論理的な思考に基づいた問題解決を行うアプローチ。
- 仮説ドリブン: イシューに対して、仮説を立て、検証することで、より深く問題を理解し、解決策を導き出すアプローチ。
- アウトプット・イメージ・ドリブン: 目的とするアウトプットを明確にし、それに基づいて仕事を進めるアプローチ。
- メッセージ・ドリブン: 伝えたいことを明確にし、効果的にコミュニケーションを取るアプローチ。
本書の価値
- コンサルティングの本質を捉える: コンサルティングの仕事が、単なるテクニックやツールではなく、論理的な思考プロセスに基づいていることを理解できる。
- 実践的な学び: 書籍で学んだことを実践することで、仕事の質を向上させることができる。
- 深い洞察: 著者自身の豊富な経験に基づいた、深い洞察が得られる。
本書からの読者へのメッセージ
- テクニックに頼らない: MECEやロジカルシンキングなどのテクニックに頼るのではなく、イシューを深く掘り下げる思考プロセスを身につけることが重要。
- 実践と反復: 本書の内容を理解するためには、単に読むだけでなく、実際に仕事の中で実践し、何度も読み返すことが必要。
- 幅広い読者層へ: コンサルタントだけでなく、新規事業に関わる人や経営者など、幅広い読者に役立つ内容。
本書と福祉の関係性
本書の論点などを見ていると、ソーシャルワークプロセスにおいて、イシューは、クライアントとソーシャルワーカーが共有する問題意識であり、援助の起点となり得るものと思われます。
本書とソーシャルワークプロセスと関連
ソーシャルワークプロセスにおいて、イシュー は、クライアントが抱える問題や課題を具体的に表現したものであり、援助の出発点となります。
ソーシャルワークプロセスにおけるイシューの役割
ソーシャルワークプロセスは、大きく分けてエンゲージメント、アセスメント、介入、評価の4つの段階で構成されます。それぞれの段階において、イシューは以下のような役割を果たします。
- エンゲージメント: クライアントとの関係構築において、クライアントが抱えている問題や課題、つまりイシューを明確にすることが重要です。
- アセスメント: クライアントの状況や背景を詳しく調査し、イシューの原因や影響範囲を分析します。この分析を通じて、より具体的なイシューが明らかになることもあります。
- 介入: 分析されたイシューに基づいて、具体的な援助計画を立て、実行していきます。イシューの解決に向けて、クライアントと共に目標を設定し、達成に向けて努力します。
- 評価: 介入の効果を評価し、イシューがどのように変化したのかを検証します。必要に応じて、援助計画を修正し、新たなイシューに対応していきます。
イシューをすべて、問題と変換するとなんの違和感もないですね(;’∀’)
ソーシャルワークにおける問題の特定
ソーシャルワークにおいて、問題を正確に特定することは、効果的な援助を行う上で不可欠です。問題を特定することで、以下のことが可能になります。
- クライアントのニーズの把握: クライアントが本当に求めているものが何かを理解することができます。
- 適切な援助計画の策定: クライアントのニーズに合った援助計画を立てることができます。
- 資源の有効活用: 限られた資源を最大限に活用することができます。
- クライアントのエンパワメント: クライアント自身が問題解決に向けて主体的に行動できるように支援することができます。
問題を特定する際の注意点
- クライアントの視点: クライアントの言葉で、クライアントの視点から問題を捉えることが重要です。
- 多面的視点: 経済的、心理的、社会的、文化的など、多角的な視点から問題を分析します。
- 変化する可能性: 問題は、時間の経過とともに変化することがあります。定期的に見直し、必要に応じて修正することが重要です。
共通点は「利益の最大化」
このように、ソーシャルワーカーもビジネスパーソンは、営利を目的とするのか、福祉の向上を目的とするのか、目的の違いはあれどその営み「解決すると影響が大きい(優先順位が高い)イシューを特定し、それに対し仮説を立て、プランニングし実行していく、実行された計画に対して評価し改善するというプロセスは、ほとんど同じということですね。
よくよく考えてみると、ビジネスパーソンは会社の利益を最大化する、ソーシャルワーカーはクライエントの利益を最大化することが使命なので、この利益の最大化という点については共通するわけですね!
お金のためのビジネスと誰かの幸な暮らしを作る社会福祉は相反するのか?
ここまで書いているとちょっと、「社会福祉はビジネスとは根本的に違う!」という幻聴が聞こえてきました。ついで「社会福祉とは、奉仕の精神なのだ!」という幻聴と幻覚も見えてきました(;^ω^)
確かにビジネスと違って、最終的な目標(ゴール)はお金ではなく、ちょっとお金は度外視して「クライエントの福利」「生活課題の解決」「地域福祉の向上」という、ビジネスで重要視される生産性からは対極の価値となるような気はします。
ここからは生産性という観点からちょっと考えてみましょう!
ソーシャルワーカーに生産性は必要か?
ここからはソーシャルワークと生産性の高い働き方について考えます。
結論から申し上げると、生産性の高い働き方は、私が知る大きな成果を出すソーシャルワーカーの働き方は非常に似ています。
生産性の高い働き方の特徴
以下では、本書から考察した生産性の高い働き方についてのまとめです。
- イシュードリブン: 業務や支援の目的や目標を明確にし、それに基づいてものごとを進める。
- 仮説ドリブン: 仮説を立て、検証しながら業務を進める。
- アウトプットドリブン: 目的とするアウトプットを明確にし、それに基づいて業務を進める。
- メッセージドリブン: 結果を明確かつ効果的に伝える。
このようなポイントを押さえた仕事の仕方が「生産性が高くなる」ポイントと言えます。
ついでに、コンサルティングとの共通点も書いてみます。
コンサルティングとの共通点
- 問題解決の構造: いずれも問題の本質を捉え、論理的な思考に基づいて問題解決を行う。
- 効率的な作業: 限られた時間の中で、最大の成果を出すために効率的な作業方法を心がける。
- 明確な目標設定: 目標を明確にし、それに基づいて行動する。
- 効果的なコミュニケーション: 結果を分かりやすく伝えるためのコミュニケーション能力の重要性。
重要性について
- 目的を明確にすることの重要性: 何のために業務、支援をするのか、という目的を明確にすることで、より効率的に業務を進めることができる。
- 仮説を立て、検証することの重要性: 仮説を立て、それを検証することで、より深い理解を得ることができる。
- アウトプットを意識することの重要性: 成果を世の中に発信するためには、効果的なアウトプットが不可欠。
- 効率的な作業方法: 限られた時間の中で、最大の成果を出すためには、効率的な作業方法を身につける必要がある。
結論
イシューを意識し業務を行うことは、コンサルティングの現場で培われたスキルではありますが、他の分野でも活かせることを示唆していると言えます。
特に、目標設定、問題解決、コミュニケーションといったスキルは、あらゆる分野で求められる普遍的な能力と言えるでしょう。
また、ソーシャルワークにおいてはその専門性から考えても、上記したスキルについては、これが専門なんだと言えるくらい高いレベルで身に着けておくべきものだと感じました。
ソーシャルワークにイシューの概念を導入する効果
ソーシャルワークの現場に「イシュー」という概念を導入することは、クライアントへの支援の質を高め、より効果的な介入を可能にする上で非常に重要な意味を持ちます。以下に、その効果について具体的に説明します。
1. クライアントのニーズの明確化
- 個別化された支援: クライアントが抱えている問題の核心部分(イシュー)を特定することで、その人に合った個別的な支援計画を立てることができます。
- 重複したサービスの防止: 複数の問題を抱えているクライアントの場合、それぞれのイシューを明確にすることで、重複したサービスの提供を防ぎ、効率的な支援を実現できます。
2. 援助目標の設定
- 具体的な目標設定: イシューを明確にすることで、援助の目標を具体的に設定しやすくなります。
- 進捗状況の評価: 目標を達成するための進捗状況を客観的に評価し、必要に応じて援助計画を修正することができます。
3. 多職種連携の強化
- 共通理解の促進: 異なる専門分野の職員間で、クライアントの抱えるイシューを共有することで、より連携のとれた支援が可能になります。
- 資源の有効活用: 各専門分野の資源を最大限に活用し、より効果的な支援を提供することができます。
4. クライアントのエンパワメント
- 主体的な関与: クライアント自身が自分の問題(イシュー)を認識し、解決に向けて主体的に取り組むことを促します。
- 自己決定能力の向上: クライアント自身の力で問題を解決できるよう、自己決定能力の向上を支援します。
5. エビデンスに基づいた実践
- 効果測定: 介入の効果を測定し、エビデンスに基づいた実践につなげることができます。
- 質の向上: より質の高いサービスを提供するための基盤となります。
6. 組織全体の質の向上
- 共通言語の確立: 組織全体でイシュー共通することで、組織としての方向性が明確になり、組織全体の質が向上します。
- サービスの標準化: サービスの質を一定に保つための標準化が容易になります。
まとめ
ソーシャルワークにイシューの概念を導入することで、クライアントへの支援の質が向上し、より効果的な介入が可能になります。イシューを特定し、それを基に援助計画を立てることは、ソーシャルワーカーにとって不可欠なスキルと言えるでしょう。
最後に
いかがだったでしょうか?最後にちょっと今回のまとめを書いてみます。
福祉とイシューは相反する概念ではない
福祉とイシューは、一見すると異なる概念のように思えますが、実は密接に関連しており、互いを補完し合う関係にあります。
福祉とイシューの関係
- 福祉: 人々の生活をより良くするための活動や制度を指します。これは、社会全体が目指すべき目標であり、より広い概念です。
- イシュー: 特定の状況下で発生する具体的な問題や課題を指します。福祉の分野では、個人が抱える問題や社会全体が抱える問題など、様々なレベルのイシューが存在します。
福祉という大きな目標を達成するためには、イシューを一つ一つ解決していく必要があります。例えば、貧困という大きな福祉の課題を解決するためには、教育の機会均等、雇用創出、住居確保など、様々なイシューに対して具体的な対策を講じていく必要があります。
イメージ
- 福祉: 大きな円
- イシュー: 円の中の小さな点々 福祉という大きな円の中に、様々なイシュー(小さな点々)が存在し、それらを解決していくことで、最終的に福祉を実現するというイメージです。
福祉とイシューが密接に関連している理由
- 問題解決: 福祉の向上には、個人が抱える様々な問題(イシュー)を解決することが不可欠です。
- 政策立案: 社会全体の福祉を向上させるためには、具体的なイシューを分析し、それに基づいた政策を立案する必要があります。
- サービス提供: 福祉サービスを提供する際には、クライアントが抱える具体的なイシューを把握し、それに合わせた支援を行う必要があります。
このようなに福祉とイシューは、それぞれ全く異なる概念ですが、そもそもの営み、プロセス自体には共通点があり、これらは互いに深く関連しています。我々が目指す福祉を実現するためには、「具体的なイシューを特定し、解決していく」ということには、ビジネスと何も違いはなく、当たり前ですが会社組織としては「成果」を追い求めることが重要であることには変わり有りません。
福祉業界はこの辺の意識が弱いのは、皆さんご承知のことだとは思うのですが、お金を稼ぐということと並行させてバランスをとることに一番の難しさがある気がします。
ご意見、ご感想はコメントでお待ちしております!
コメント