皆さん、こんにちは!
今回も、誰に求めれているか分からない「地域福祉」シリーズ第3弾です。
この度のテーマはずばり「ニーズ」です。
社会福祉法に「地域生活課題」という言葉が規定されています。これは我が国の政策として、地域生活課題の解決が志向されているということになります。
これは、ソーシャルワークに置き換えるとシンプルに地域のニーズを解決するということになります。
では、地域のニーズ=地域生活課題とは何なのか?ということを考えてみようと思います。
他にもいろんな記事を書いているので良ければ見てください
“【基本は傾聴】ソーシャルワークにおける面談【共感的理解が鍵】” ‹ よくわかる介護ブログ — WordPress (swhiro.blog)
【知っていると】ファシリテーション①【得する】” ‹ よくわかる介護ブログ — WordPress (swhiro.blog)
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地域生活課題は意識されずらい
社会福祉法における地域生活課題
まず、社会福祉法の地域生活課題に関する項目を引用してみます。
社会福祉法 第106条の3
「市町村は、次に掲げる事業の実施その他の各般の措置を通じ、地域住民等及び支援関係機関による、地域福祉の推進のための相互の協力が円滑に行われ、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制を整備するよう努めるものとする。」
社会福祉法第4条第2項
地域生活課題とは,福祉サービスを必要とする地域住民と世帯が抱える①福祉,介護,介護予防,保健医療,住まい,就労,教育に関する課題②地域社会からの孤立に関する課題、③あらゆる分野に参加する機会の確保の課題を言う.
つまり、支援を必要とする人や世帯が抱える福祉に限らない生活に関する課題を解決することや社会との繋がりがない孤立状態の解消、すべての人が自分のしたい社会参加ができるようにしようということですね。
これらの課題は到底一つの機関では解決できないですし,関係機関が連携したり,近隣住民等地域と行政、専門職などが連携することで,地域の中で必要な社会資源を創造するなど本当に多様な対応が求められると思います.
地域社会の仕組み
ある一定の地理的な範囲内に暮らすことで、多くの人や世帯は法律、制度、インフラ、価値観、暗黙のルール、奇行、災害、待機、治安状況、道路、行政による公共サービス、保健医療サービス、介護サービス、公共施設(図書館、体育施設、公園)、買物の場所やレジャー施設など、様々な資源を共有することになります。
ただし、これは普段はあまり意識されません
皆さんもあまり、共有していると意識はないと思います。
一人一人の認識では、もし医療サービスや介護サービスが不足していたとしても、それを利用するタイミングまではそのことは分かりません。何か大きなトラブルが起こったり、必要なものが無いことに気づいたときにはじめて意識されます。
つまり、地域生活課題は確かに地域にあるのかもしれませんが、それを当事者として体感的に理解している人と、自分に降りかかっていない人がいて、自分に降りかかっていない人にとっては発生していないも同然なんです。
自分に降りかかっていない人からは、例えば介護負担がすごく高くて介護サービスを使いたくても使えない、必要なサービスがないということがあったとして、それは「介護が必要な人や家族問題」あるいは「行政、法律が悪い」と認識されることになって、地域社会の課題としては認識されないのです。
地域生活課題が認識されるのは、「何かあったとき」
災害や気候変動などが、ボランティア活動など「誰かのため活動」「支え合い」に発展しやすいのはなんとなく皆さんにも理解してもらえると思うのです。
これは、災害や気候変動による被害が「目に見えやすいく」というのと、どこかの誰かの問題ではなく、自分自身にも関係のある問題だと意識しやすいのが理由であると考えられます!
このように、何かが起きる度に地域社会のつながりの必要性は徐々に顕在化し、強く意識されることになります。
つまり、この何かがあったということをある一定地域に住んでいる人と以下に共有し、どこかの誰かの問題ではなく、自分自身にも関係のある問題だと意識され、「このままではダメだ」という気持ちを喚起することが必要だということですね!
地域生活課題が意識されるためには
地域社会の構成メンバーと認識されにくい人
例えばですけど、地域には「施設」も含まれていて、ここに入所している人も、地域住民の一人であると考えることが自然です。施設に入っているからって、住民じゃないというのは無くても、なんとなく「在宅」と「施設」というは分断されて考えられているのだと思います。
でも、施設で生活する人はもし「お花見を楽しみたい」「家族と花見に出かけたい」という希望を持った時に、これが様々な理由で達成できないのは地域生活課題であると言えるのではないでしょうか?
確かに、寝たきりの方とか医療的処置が必要ということもあり難しいということはあるのだと思います。それでも、「お花見」をどんなことがあっても不可能というは、あらゆる分野に参加する機会が失われていると言えるのだと思います。
地域社会から認識されにくい人から地域生活課題が見いだされます
何らかの課題を抱えていて、周囲の人には「その人の問題」と思われているような、地域の中で排除されやすい、傷つきやすい状況に置かれている人や世帯では、そもそも何らかの支援やサポートに繋がりにくい「孤立」状態にあったり、自分自身で課題に対処が行えないことが多いため、本来は活用可能な資源にたどり着かないことで、更に生活課題が複雑化重度化して解決が困難になっていくような負のスパイラルに陥っています。
このような状態像の人や世帯では、たくさんの地域生活課題が見られるはずです。
例えば、認知症のがある人や精神的な疾患を抱えている人などは支援を必要とするでしょう。この時に、最低限生きるということではなく、その人が希望する生き方や参加が保障されるという観点から必要な支援やサポートがあるのか、無いのか?という視点から考えていくことが大事です。
この場合、認知症や精神的な疾患そのものが地域生活課題ではなく、そういった生きづらさを持ちながらも、望む生活や参加を何が阻害しているのか、何か必要なものが無いからなのか考えるとそれが地域生活課題となるはずです。
多様化・複雑化した地域生活課題
ここでは、これまで報告されている。多様化した社会や社会構造によって支援やサポートが受けずらいとされているニーズについてご紹介します。
ひきこもりと8050問題
8050問題とは、80代の高齢者とひきこもりの50代の子が同居しているという状態を指します。また、親に生活費を依存しながら生活する状態にある広義のひきこもり状態にある人も全国で61.3万人と推定されています。
ひきこもりの背景には、就職氷河期を経験をしたことによって、不本意な就職や不安定な雇用状態のままで、社会的孤立に対するリスクを多く持っているということがいわれています。
つまり、ちょっとした「つまづき」で孤立に陥ってしまうということです。
これは、どうでしょうか?個人の問題でしょうか?違います。このような問題は、個人が生み出したものではなく社会との関係によって作り出されたものだと捉えられるべきでしょう!
外国人の増加、共生
政府の政策によって外国人労働者の受け入れが増加傾向にあります。
このような外国籍にある人は、生まれ育った文化や、生活様式の違いから、地域の中でトラブルになることも少なくありません。
以下には、国籍に関わらずともに生きる共生についての課題を羅列します。
- 文化の違いと社会統合: 外国人労働者の増加は文化的な多様性をもたらしますが、それには文化的な誤解や隔たりが生じる可能性があります。これに対処するためには、教育やコミュニティ活動を通じて文化交流を促進し、社会統合をサポートする取り組みが必要です。
- 法的な課題と保護: 外国人労働者はしばしば労働条件や人権に関して脆弱な立場にあります。不適切な労働条件や不当な扱いを受ける可能性があるため、適切な法的保護と監視が重要です。労働法や移民法の整備が必要です。
- 言語の壁と教育へのアクセス: 外国人労働者が地域社会で適応するためには、現地の言語を理解することが必要です。そのための言語教育プログラムの充実が必要です。また、子どもたちの教育機会にもアクセスできるような支援が重要です。
- 労働市場への影響: 外国人労働者の増加は、一部の地域や産業分野での労働市場に影響を及ぼす可能性があります。地元の労働者との競争を引き起こし、賃金水準や労働条件を下げる可能性があります。適切な労働市場政策の設計と調整が必要です。
- 移民政策と管理: 外国人労働者の増加は移民政策の見直しを必要とする場合があります。労働力の需要と労働市場の状況に基づいて移民政策を調整し、外国人労働者の流入を適切に管理することが重要です。
これらの課題に対処するためには、政府、企業、NGO、地域社会などが協力して包括的な戦略を策定し、外国人労働者が社会で受け入れられ、適切な支援を受けられる環境を整えることが重要です。共生を促進し、多様性を受け入れる社会の構築が求められます。
様々な地域生活課題
これらの他にもたくさんの地域生活課題があります。
ダブルケア
晩婚化、晩産化等を背景に、育児期にある世帯が親の介護も同時に担う状態。
介護離職
介護と仕事の両立が困難となり、仕事を辞めざる得ない状態
ヤングケアラー
本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものこと。責任や負担の重さにより、学業や友人関係などに影響が出てしまうことがあります。
ワーキングプア
ワーキングプアとは、「働く貧困者」という意味で、フルタイムとして働いているものの十分な所得を得られず、貧困状態にある就業者を指します。
「ふつうの暮らし」と地域生活課題
これまでご紹介したような地域生活課題を抱える人や世帯にある問題は、個人の責任と捉えらがちではありますけども、どれも個人が生み出したもので問題ではありません。
社会構造、時代背景など複数の要因が重なった結果、社会的孤立や生活困窮など陥りやすく必要な支援やサポートが得にくいということが問題なのです。
有名な話ですが、福祉をひらがなで書くと「ふ・く・し」でこれは「ふつうの・くらしの・しあわせ」となります。
支援やサポートが必要な人はこの「ふつうの暮らし」を営み、「幸せ」になる権利はないのでしょうか?
やはりそうではなくて、孤立に陥りやすい、問題を抱えやすい人や世帯が、支援やサポートを受けることのできるという環境や望んだ生活や社会参加ができるということが重要などと私は思います。
ここに個別支援における何らかの生活課題持つ人や世帯に不足する「環境」を普遍化した地域生活課題へ対処する地域福祉の「価値」があると考えています。
最後に
いかがだったでしょうか?
今回は、ニーズのお話から地域生活課題へと内容を展開してみました。
支援につながることがゴールではなく、「ふつうの暮らしの幸せ」という観点で見た時に、ほぼ100%フォーマルなサービスでできる事は、大切ではありますが限定的だと思っています。
地域生活課題を特定したり、抽出するのは大変ですし、その対応は更に困難を極めます。でも、少しづつでも「何かあった時に」それを共有して「このままじゃいかん」と対応することで地域社会が良くなればいいなとも思います。この長い道のりが、そのまま地域福祉の歩みだと思うのです!
次回は、社会的孤立などについて深めてみたいと思います!
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