【精神保健福祉士・社会福祉士国試対策】地域福祉と包括的支援体制の重要ポイント総まとめ

国家試験対策

【精神保健福祉士・社会福祉士国試対策】地域福祉と包括的支援体制の重要ポイント総まとめ

 

精神保健福祉士や社会福祉士の国家試験において、「地域福祉と包括的支援体制」は制度の目的や定義、具体的な担い手、そして財政まで、覚えるべきポイントは多岐にわたります。

今回は、試験直前の確認にも使えるよう、重要事項を網羅的に整理しました。ぜひ学習にお役立てください。


 


1. 包括的支援体制と重層的支援体制整備事業

 

「誰一人取り残さない支援」を目指し、複雑化・複合化した課題を持つ方や世帯をサポートするための体制について解説します。

重層的支援体制整備事業(社会福祉法改正・令和3年4月施行)

 

✅ 目的と特徴

  • 既存の相談支援等を活かしつつ、属性や世代を問わず包括的な支援体制を構築すること

  • 分野ごとに切り離さず、各分野が共同して支援を行うことが重要。

  • 市町村の任意事業(手挙げ方式)である。

✅ 3つの必須事業

重層的支援体制整備事業は、社会福祉法に基づき、市町村が以下の3つの事業を一体的に実施することを必須としています。

  1. 包括的相談支援事業

    • 多機関協働とアウトリーチという中核的な機能を担います。

  2. 参加支援事業

  3. 地域づくりに向けた支援(地域づくり事業)

✅ 関連会議

  • 重層的支援会議:多機関協働事業において実施され、関係機関間の連携やプランの検討、資源の把握・創出等について検討する会議です。


地域共生社会推進検討会

 

(地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会)

✅ 最終とりまとめ(2017年/平成29年)の指摘

  • 縦割りの支援を当事者中心の**「丸ごと」の支援**とする等の包括的な支援体制の整備の必要性。

  • 多様な人や機関がその都度集い、相談、協議し、学び合う場としてのプラットフォームづくりが重要。


2. 地域福祉の理念・概念と法律

 

地域福祉の理念

 

1. 社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)

  • **排除(エクスクルージョン)**の反対概念。

  • 社会の構成員が、孤立することなく地域社会の一員として認められ、参加できることを目指します。

  • 貧困や社会的孤立を防ぎ、すべての人に基本的な権利と機会が保障されることを重視します。

2. コミュニティケア

  • 施設収容型から地域生活型への転換(脱施設化)を背景に、障がい者や高齢者等が住み慣れた地域社会の中で生活を継続できるよう支援すること。

  • 専門サービスと、住民によるインフォーマルな支援との組み合わせが不可欠です。

3. アドボカシー(権利擁護)

  • セルフアドボカシー:支援対象者自身が自分の意見や権利を主張すること。

  • ピアアドボカシー:支援対象者と同じ立場の人(仲間)が、代弁・支援すること。

  • リーガルアドボカシー:法律の専門家が、法的手段を用いて権利を擁護すること。

社会福祉法と地域福祉

 

  • 地域福祉の推進規定

    2000年(平成12年)の改正により、地域福祉の推進に関する基本理念や規定(地域福祉計画の策定努力義務等)が盛り込まれました。

  • 市町村地域福祉計画

    策定は努力義務ですが、策定または変更の際には、地域住民や社会福祉を目的とする事業を行う者等の意見を反映させるように努めなければなりません。

  • 市町村社会福祉協議会

    2000年の改正により、「地域福祉の推進を図ることを目的とする団体」として法律に位置づけられました。


3. 市民による福祉の担い手と組織

 

精神保健福祉士国家試験等で問われやすい、地域における非営利・住民参加型の主な担い手とその役割を整理しました。

担い手役割・特徴根拠・規定と試験対策ポイント
民生委員地域の住民の立場から、住民の生活上の相談に応じ、必要な援助や関係機関へのつなぎを行う。

1. 厚生労働大臣から委嘱される。


2. 非常勤特別職の地方公務員。


3. 給与はなし(無報酬)。


4. 任期は3年(再任可)。


5. 児童委員を兼務する


6. 守秘義務あり。

主任児童委員児童福祉に関する事項を専門に担当。民生委員(児童委員)への指導や連絡調整を行う。

1. 民生委員・児童委員の中から指名され、厚労大臣から委嘱。


2. 特定の担当区域を持たず、市町村や担当区域の全域を担当。


3. 学校や児相等の連携強化を担う。

労働者協同組合組合員が出資し、事業に従事し、地域の多様な需要に応じた仕事を生み出す。

1. 労働者協同組合法(2022年施行)。


2. 基本原理:①出資、②意見反映、③自ら従事。


3. 営利目的ではないため、剰余金の配当は制限される。

NPO法人


(特定非営利活動法人)

市民が行う公益的な活動(ボランティア等)の健全な発展と地域貢献を目指す。

1. 特定非営利活動促進法(NPO法)。


2. 収益事業は可能だが、収益は非営利活動に充てる(非営利徹底の原則)。


3. 意思決定に社員が関与(社員総会)。

社会的企業社会問題の解決を主たる目的とし、ビジネスの手法を用いる企業。

1. 利益を社会的目的に再投資することが多い。


2. 福祉、環境、雇用など多様な課題に取り組む。

認知症サポーター認知症への正しい知識を持ち、地域で見守りや手助けをする。

1. 「チームオレンジ」活動の中核。


2. 養成講座を受講すれば誰でもなれる(特定機関への所属不要)。

💡 補足:民生委員・主任児童委員の違い

 

  • 民生委員:地域の生活全般を担当する「地域担当」であり、児童委員を兼務します。

  • 主任児童委員:児童福祉に関する事項について、他の児童委員の後方支援や連絡調整を行う「専門委員」です。地域担当の民生委員とは異なり、特定の区域は担当せず広域で活動します。


4. 災害時の支援と生活困窮者支援

 

災害時の支援体制

 

  • 災害対策基本法

    市町村長は、避難行動要支援者(高齢者、障がい者等)ごとに、個別避難計画を作成するよう努めなければなりません(努力義務)。

  • 福祉避難所

    要配慮者(高齢者、障がい者、乳幼児など)が、一般の避難所での生活が困難な場合に滞在するための施設。

  • 業務継続計画(BCP)

    災害や感染症発生時にも事業を継続するための計画。介護保険制度では、全ての介護サービス事業者に策定と訓練が義務化されました(2024年度から完全義務化)。

  • 災害派遣福祉チーム(DWAT)

    災害時に、被災した要配慮者や避難所等への福祉的支援を担うチーム。各都道府県が組成します。

生活困窮者自立支援制度(生活困窮者自立支援法)

 

  • 目的

    生活保護に至る前の段階で、経済的に困窮している人に対し包括的かつ計画的な支援を行い、自立を促進すること。

  • 対象者(定義)

    「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」。

    ※現に生活保護を受給している者は対象外です。

  • 主な事業

    • 自立相談支援事業(必須):相談に応じ、支援プランを作成。

    • 住居確保給付金(必須):離職等で住宅を失うおそれがある人に、家賃相当額を支給。


5. 子ども・若者、ひきこもり支援

 

ヤングケアラー・若者ケアラー

 

  • ヤングケアラー:18歳未満の児童・生徒で、本来大人が担う家族の介護や世話を日常的に行っている子ども。

  • 若者ケアラー:18歳からおおむね30歳代までのケアラーを想定。

  • 影響:学業の遅れ、友人関係の構築困難、心身の健康問題など、権利と発達への影響が問題視されています。

ひきこもり支援

 

  • 定義(内閣府)

    「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態」。

  • 支援

    ひきこもり支援推進事業や、市町村の相談窓口(社協、地域包括支援センター等)を通じ、居場所づくりや就労体験への参加支援を行うことが重要です。


6. 地域包括支援センターと地域包括ケアシステム

 

高齢者支援の中核となる重要テーマです。

地域包括ケアシステム

 

  • 目的

    団塊の世代が75歳以上となる**2025年(令和7年)**を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けられる体制を構築すること。

  • 構成要素(5つの要素)

    1. 住まい

    2. 医療

    3. 介護

    4. 予防

    5. 生活支援

  • 実現主体

    市町村(特別区含む)が主体となり、概ね30分圏内の「日常生活圏域」を単位として構築されます。

地域包括支援センター

 

地域包括ケアシステム実現の中核機関です。

  • 根拠法:介護保険法

  • 設置主体:市町村(直営または委託)

  • 対象者:すべての高齢者およびその家族

  • 設置基準:中学校区(日常生活圏域)ごとに概ね1箇所。

✅ 中核的な業務(3つの包括的支援事業)

  1. 総合相談支援事業(断らない相談窓口)

  2. 権利擁護事業(虐待防止、成年後見など)

  3. 包括的・継続的ケアマネジメント支援事業(ケアマネ指導、多職種連携)

    ※これに加え、介護予防ケアマネジメント事業も実施。

✅ 必須の専門職(3職種)

以下の3職種を必置とし、チームで業務にあたることが義務付けられています。

  • 保健師(または経験豊富な看護師):医療・予防の知見。

  • 社会福祉士:総合相談、権利擁護、連携。

  • 主任介護支援専門員(主任ケアマネ):ケアマネジメント支援。

地域ケア会議

 

地域包括支援センターが中心となり定期的に開催されます。

  • 個別課題の解決:困難事例の検討・支援方針策定(ケース検討機能)。

  • 地域課題の把握・政策化:地域共通課題を抽出し、資源開発や制度改善につなげる(地域づくり機能)。


7. 社会福祉協議会(社協)

 

社協は、公的な位置づけと民間性を併せ持つ組織です。

✅ 根拠・組織

  • 根拠法:社会福祉法(第109条で「地域福祉の推進を目的とする団体」と規定)。

  • 歴史:1951年発足。**1962年(昭和37年)**の「社会福祉協議会基本要綱」で活動方針を体系化。

  • 組織:民間団体であり、全国・都道府県・市町村の各段階に設置。活動の主役は市町村社協です。

✅ 主な事業内容

  • 在宅福祉・生活支援:日常生活自立支援事業(窓口業務)、心配ごと相談、配食など。

  • 生活困窮者支援:生活福祉資金貸付事業(相談と貸付の一体的支援)。

  • ボランティア・NPO活動の推進:ボランティアセンターの運営。

  • 共同募金運動への協力

🌟 【重要】共同募金との関係

 

共同募金は、民間社会福祉活動を支える財源です。

  • 根拠法:社会福祉法

  • 実施主体:都道府県ごとの共同募金会

    • ※社協は実施主体ではありませんが、全面的に協力しています。

  • 特徴

    • 毎年1回実施。

    • 集まった募金は原則、その都道府県内の福祉活動に使われる(地域性・計画性の原則)。

    • **「歳末たすけあい募金」**も共同募金の一環です。

  • 配分

    共同募金会から社協やNPO等へ配分され、地域福祉活動の財源となります。

✅ 地域における社協の機能

  • 公私の協働:行政制度と住民活動(民間)を結びつける。

  • 福祉サービスの経営:訪問介護やデイサービス等を自ら経営することも多い。

  • 「共同して行う」:行政・関係者・住民が集まる場であり、共同の原則を体現しています。


8. 地方財政(市町村の歳出決算額と民生費)

 

国家試験では「地方財政の状況」における民生費の割合が出題されることがあります。

市町村の目的別歳出決算額の構成比(重要)

 

市町村の歳出において、最も大きな割合を占めるのは民生費です。

  1. 民生費(児童、高齢者、障がい者等の福祉経費)

  2. 総務費(自治体運営全般)

  3. 教育費

市町村の民生費の内訳(重要)

 

民生費の中で、どの分野にお金が使われているかを押さえましょう。

  1. 児童福祉費(約45%前後):児童手当、保育所など。これが最大です。

  2. 老人福祉費:介護保険事業など。

  3. 社会福祉費:障がい者福祉など。

  4. 生活保護費

⚠️ 試験対策の注意点

  • 「市町村の民生費で最も割合が大きいのは生活保護費である」→ 誤りです。児童福祉費が最大です。

  • 都道府県との違い

    • 市町村の歳出1位は「民生費」ですが、都道府県の歳出1位は「教育費」になることが多いです。

    • 都道府県の民生費内訳の1位は「社会福祉費」の傾向があります。


おわりに

 

いかがでしたでしょうか。

包括的支援体制から地方財政まで、幅広い知識が問われる分野ですが、一つひとつのキーワードと「誰が・何を・何のために」行うのかを整理しておけば、得点源にできるはずです。

国家試験合格に向け、繰り返し確認してみてください!

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